医師も知らない実は間違っている「医療神話」10 魚油では心臓病リスクを軽減できない
■イエダニやネズミ、ゴキブリを退治しても、ぜんそくの発作は抑えられない
ぜんそく持ちの家族がいる場合には、家の中にいるこうした害虫を退治するよう有力な医学団体はアドバイスしてきた。害虫に対するアレルギー反応によってぜんそくの発作が起きるという考えからだ。
しかし、ネズミに起因するアレルゲンに敏感な子どもがいる家庭で、害虫を徹底的に排除してもぜんそくの発作が起こる頻度は減少しないと、2017年の研究で報告された。
「破水=すぐ分娩」の必要はない
■歩数計やカロリー計算は減量に役立たない
実際のところ、減量に役立つのはその反対だ。ダイエットをしている人約470人を2年間追跡したところ、歩数や摂取カロリーをカウントするデバイスを使用していた人は、標準的な減量アドバイスに従った人よりも体重の減りが少なかった。
■ひざの半月板損傷には、手術よりまず理学療法を
骨関節炎などによって起きる膝関節軟骨損傷の治療のために、アメリカでは毎年推計46万人が手術を受ける。痛みが激しく、手術で改善しなければ痛みが延々に続くのではないかと恐れる患者は多い。
しかし、半月板損傷患者と中程度の関節炎を患う患者を対象とした無作為化比較試験では、6カ月の理学療法を受けた人と手術を受けた人では改善の度合いは同レベルだった。
■妊娠女性が早く破水してしまっても、直ちに分娩する必要はない
出産予定日よりも数週間前に胎児を包んでいる膜が破れ、中の羊水が流れ出すことがある。従来は、胎児のいる無菌の環境に細菌が侵入し、感染を引き起こすことが懸念されたため、産科医は破水したらすぐに分娩すべきであると考えていた。
しかし、臨床試験によって、自然な分娩を待つ間に胎児を注意深く観察すれば、胎児の感染リスクは高まらないことがわかっている。さらに、自然分娩まで母親のお腹の中にとどめられた赤ちゃんは、破水後すぐに取り出された赤ちゃんよりも呼吸困難と死亡のリスクが低かった。
(C)2019 The New York Times News Services
(執筆:Gina Kolata、翻訳:中丸碧)
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