知らないと大損する保険契約「3つの基本」 老後不安をあおる勧誘の罠から逃れるには?

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しかし、消費者も、「自分の資産は自分で守る」という基本を肝に銘じることが必要だと思います。

「内容を100%理解できないものは絶対に買わないこと」です。保険に限らず、金融商品を買った後で後悔したり、心配になったりしてご相談に来られる方々からよく聞く言葉は、販売者について「いい人なのよ」「一生懸命勧めてくれて」「これは安心(元本保証)だからって」ということです。どれも商品にはまったく関係のない理由です。

村山静香さん(仮名・46歳・会社員)は、老後資金不足をどうにかしたいと、冒頭でご紹介した会社の女性セミナーに行き、その後個人相談で勧められた「米ドル建て変額保険」を買いました。一時払い保険料として625万円支払い、15年後に1300万円になるというシミュレーションを信じてのことでした。

変額保険は、運用次第で受け取る保険金額が変わります。シミュレーションでは「15年後の返戻率は209%」と記されていました。変額部分の運用年率が10%の仮定で計算されたものです。為替レートは加入時と変わらない前提で、満了時の受け取り金額は「1300万円」、仮にドル円が10円高になったとしても「約1180万円」と記されていました。

「12%で15年の運用」を想定していた変額保険

村山さんは、こう話していました。

「今ならこんなうまい話はない、とわかりますが、セミナーの講師がとても話上手で引き込まれ、老後に困らないようにすぐ何とかしなくてはと……何の疑いも持たずに契約してしまいました。株や投資信託なら元本割れすることもあるとわかりますが、保険だから安心と思ってしまったのです」

外貨建て保険では、保障と運用の両方にコストがかかるうえに、さまざまな手数料もかかります。村山さんが契約した保険では、変額部分の運用コストは約2%でした。10%の実質リターンを得るためには、12%で15年運用しなければなりません。

老後不安をあおられたうえ、解決策のように保険商品を提示されたら「渡りに船」という気持ちになるかもしれません。でも、「お金を殖やす」ことの前に大切なのは、「大きく間違えない」こと。村山さんも「人のリスク」を回避することができませんでした。

では、どうしたらいいでしょうか。基本的なマネーリテラシーを身に付けていれば、「そんなうまい話はないだろう」と避けられると思います。とくに保険については、次の3つを覚えておいてください。

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