道化師「英ボリス新首相」が何気に人気の理由 トランプとは根本的に異なる部分がある?

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ジョンソン氏は、「バックストップのことなんか、どうでもいい」「バックはここで、止まるんだ(最後は自分が全部責任を取る)」と演説で述べた。ジョンソン支持者なら、静かに笑ってしまうような言葉の遊びである。

ジョンソン氏は首相就任前、10月31日というブレグジット実現の日を死守すると繰り返し、就任演説でもそう述べた。そのためには離脱協定案を下院が批准する必要がある。これまで、この協定案は3回否決されている。

支持者にとっては陽差しをもたらす人物

協定案の中で、 ジョンソン氏はバックストップを取り去りたいと思っている。しかし、アイルランドを含むEU27カ国、交渉役らは「取らない」と言う。現行の協定案を「変えるつもりはない」と。

ジョンソン氏はまた、離脱にあたって英国がEUに払う巨額清算金の支払いも中止したいと思っている。ジョンソン氏とEU側は真っ向から衝突しそうな勢いだ。

時間もジョンソン氏にとって、悩みの種だ。英議会は25日から夏休みに入り、再開は9月3日。EUと離脱協議での合意を目指す欧州首脳会議は10月中旬だ。間に合うかどうかは不明だ。強硬離脱派のジョンソン氏が首相になったことで、イギリス政府とEUとの「どこまでハッタリをかけられるか」の戦いが火ぶたを切る。

「陽差しを持ってきてくれ!」という見出しのデイリー・メールの1面(23日付、筆者撮影)

合意なき離脱、総選挙、場合によってはジョンソン政権の崩壊も可能性として捨てきれない。

保守系のデイリー・メール紙は、新政権誕生の見込みが出たことで、ジョンソン氏に「陽差しを持ってきてくれ!」と1面で呼びかけた(23日付)。、ジョンソン氏支持者にとって、同氏はイギリスに「陽差しを持ってきてくれる人」なのである。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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