三越伊勢丹、JR西日本の暗中模索 不振の百貨店「JR大阪三越伊勢丹」を衣替え

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三越伊勢丹とJR西日本の協力関係

専門店ビル化で、相対的にJR西日本側の存在感が増すと予想される。そこで注目されるのが、債務超過に陥っているジェイアール西日本伊勢丹に対する財務・資金支援だ。

三越伊勢丹HDの大西社長は、運営会社の追加出資をどうするのか(撮影:梅谷秀司)

今後の改装には60億円程度を必要とし、百貨店の改装額はこれに含まれるが、さらに膨らむ可能性も否定できない。信用力強化という面から、資金調達にはJR西日本と三越伊勢丹HDからの増資が検討されている。2社のパワーバランスが変容しそうな状況で、従来通りの6割(JR西日本)、4割(三越伊勢丹HD)が維持されるのか。

三越伊勢丹HDの大西社長は「出資比率が変わることはない」と繰り返してきた。だが、関係者は「出資比率も含めて検討している」と話す。京都店がある以上、三越伊勢丹HDが追加出資を見送ることはないにしても、出資比率が低下するかがポイントになる。

現状、ジェイアール西日本伊勢丹の借り増しは検討されていないもようだ。12年3月末で三越伊勢丹HDは同社に対して120億円の債務保証を行っていたが、13年3月期に39億円の債務保証損失引当金を計上し、それが80億円に切り下げられている。今後、借り入れの形で資金調達が行われる場合には、債務保証の追加が必要と見られ、この点も注目される。

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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