「ボイコットジャパン」で韓国LCCに赤信号 「ドル箱」日本路線にキャンセルが相次ぐ

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反日感情の高まりが、確実に日本路線への搭乗客を減らしている。今年7月第1週には83.5%だった仁川(インチョン)・関西路線の平均搭乗率は、同月第2週には75.5%と8ポイント下落した。イースター航空を除く6社は、すべて90%超の搭乗率だった。

これまで同区間の平均搭乗率は80%超が続いており、「ドル箱路線」とされてきた。特に団体旅行客のキャンセルが増えた。個人旅行には大きなキャンセルの動きは出ていないが、日本行きの航空券をキャンセルした証拠となる書類などをわざわざSNS(交流サイト)で公開する者も増え始めた。さらに、官公庁や公的機関などを中心に団体客が7~8月の旅行をキャンセルする動きが相次いでいる。

旅行代理店でも日本旅行が大きく減少

日本旅行への需要全体が縮小するとの見方も広がっている。韓国航空大学経営学部のホ・ヒヨン教授は「日本が輸出規制措置を発表する前に日本行きの航空券を予約した人は、旅行自体をそれほどキャンセルしないかもしれない。しかし、反日感情の高まりで日本への旅行を選択肢から外す人が増えてくるだろう」と指摘する。そして、「景気全体の悪化でただでさえ韓国航空業界への影響が心配されている中、日韓関係の悪化は業界にとってさらなる重荷となるだろう」と付け加える。

航空業界だけではない。旅行代理店でも、日本への旅行客の減少がはっきりしてきた。韓国人の海外旅行取り扱いでは韓国トップのハナツアーでは、1日平均1100人程度の日本旅行予約者数が最近では600~700人にまで減少した。日本旅行に関する問い合わせも一気に減った。同じ旅行代理店のモドゥツアーは、昨年夏の旅行シーズンには1日平均1000人程度だった日本旅行客が、今年は半減したという。

LCC業界にとっては稼ぎ時となる今年第3四半期(7~9月)の業績悪化が、すでにささやかれ始めるなど業界は戦々恐々とし始めた。日韓関係の悪化が収益の足を強く引っ張るのではないかと見られているためだ。

2018年第3四半期には、チェジュ航空やジンエアー、ティーウェイ航空の各社は、日本で発生した地震や台風などの影響などで繁忙期の運航に支障が出て、営業利益が前年同期比6.5~54.3%の減益となった。日本製品不買運動が長期化すれば、今年の繁忙期の業績はさらに悪化しそうだ。

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