任天堂、「勝ちパターン」が逆回転

「据え置き」「携帯」の統合モデル構築へ

キャラクタービジネスに乗り出すか

一方で、市場関係者が期待するのは即効性。「マリオ」「ドンキーコング」「ゼルダの伝説」など任天堂のソフト資産をアップルやアンドロイドのスマホ向けゲームにアプリ配信して収益を多様化すべきとの声は多い。

ただ、岩田社長は「他社のハードにマリオを出すのは、ハードとソフトを一体で作っている任天堂の強みを損なう」と否定的な見解を示す。

また、任天堂は持分法適用会社の「ポケモン」でアニメや玩具、雑貨へのキャラクター展開を成功させているが、マリオやドンキーコングのキャラクタービジネスは不十分。ウォルトディズニーやサンリオのようにテーマパークを展開するアイデアも市場でたびたび浮上している。

だが、ゲーム開発者出身で「心はゲーマー」と自称する岩田社長に、ゲーム事業以外へ経営資源を積極的に割く姿勢はみられない。キャラクタービジネスは「キャラクターの価値が傷つくことがないと確信できる場合のみに行う」などとしており、テーマパーク運営も「今あるようなテーマパークと同じようなものでは、任天堂の価値の向上につながるとは考えていない」と慎重な発言をしている。

厚いキャッシュ・ポジションで再起期す

昨年の年末商戦では、家庭用ゲーム機で競合するソニーの「プレイステーション(PS)4」とマイクロソフトの「Xbox One」が好調な滑り出しを見せた。このため、WiiUの不振はスマホやタブレットの影響だけでは説明できず、市場関係者からは「任天堂の1人負けは、任天堂自身に責任がある」(国内アナリスト)との声が強まっている。

もっとも、WiiとDSの成功で多額のキャッシュをもたらした岩田社長に経営責任をとって退任すべきとの声は少ない。これまで高配当を実施しながら13年9月末の現預金と有価証券の合計額は8500億円にのぼっている。

もともとゲームビジネスは当たり外れが大きい。「一度の失敗で企業の存続が危険にさらされることのないように強いキャッシュポジションを持つ」(岩田社長)のが任天堂の戦略だ。

WiiUでつまずいた以上、今後はできるだけキャッシュアウトを小さくして、次の準備にかかるのが得策。据え置き型ゲーム機のサイクルは5年間とされ、まだ2年目に入ったばかりのWiiUを抱える任天堂は、苦しい時期が数年続く。

(村井令二 ソフィー・ナイト 取材協力:長田善行 編集 田巻一彦)

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