旭化成が踏み切った"旧体制"との決別 4月就任の新社長に権限を一本化

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伊藤一郎会長(左)、藤原健嗣社長(右)から経営を託される浅野敏雄新社長

旭化成は1月24日、浅野敏雄執行役員が4月1日付で社長に昇格すると発表した。

浅野新社長は現在、旭化成のヘルスケア(医薬・医療)部門である旭化成ファーマの社長を務めている。ヘルスケア部門出身者が社長に就任するのは今回が初めてだ。浅野氏を選んだ理由について、伊藤一郎会長は「決断力、実行力がある」と説明する一方で、「ヘルスケア部門の育成にも力を入れたい」と語る。

旭化成の中核事業は合成繊維から化学、住宅、エレクトロニクスへ広がっている。現在はヘルスケア事業に注力中で、2012年には米国の医療機器会社を買収するなど規模を拡大している。同事業の前2013年3月期の営業利益は159億円。住宅の543億円、化学の229億円に次ぐ収益柱に成長した。着用型の自動除細動器など高い成長が狙える製品をいくつも抱える。浅野新社長は「ヘルスケアを第3のマザービジネスにするのが私の仕事」と言い切った。

藤原社長は取締役も退任へ

今回のトップ人事は、もう一つ特徴がある。経営体制の大きな変更だ。

6月の株主総会後に代表権を持つのは、浅野新社長(グループ経営統括、ヘルスケア事業領域担当)、副社長執行役員に昇格予定の平居正仁執行役員(住宅・建材事業領域担当)、専務執行役員に小林友二執行役員(ケミカル・繊維事業領域担当)、小堀秀毅取締役兼常務執行役員(エレクトロニクス事業領域担当)の4人になる。

それぞれが担当の事業領域を持ち、「グループ経営の経営統括そのものは浅野新社長に権限を集中して、領域経営を強化する」(伊藤氏)。

現在代表権を持つ伊藤会長、藤原健嗣社長について、藤原社長は4月に代表権のない副会長に就任し、株主総会後は取締役から外れる。伊藤会長は株主総会後に代表権のない会長になり、取締役会議長に専念するが、これも「経過措置で長くやるつもりはない」(伊藤会長)という。

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