「同期入社で同じ年収」なのに年金額が違う理由 結婚年齢と妻の年齢で年金が「600万円」の差!

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先の3人の同期のケースでは、結婚年齢と妻の年齢で年金額が異なりましたが、それだけでなく、世帯ごとの働き方、家族構成によって年金額は大きく違ってくるのです。

「こういう人って多いだろうな~」と思うのが、雑誌や本を読んで、自分が定年後に受け取る年金はこのくらいと思い込んでいて、現実に直面したとき、あまりの少なさに呆然自失するケースです。

私もときどき寄稿したり、インタビューを受けたりしているので、何とも心苦しいのですが、雑誌などはスペースの関係もあって、一人ひとりの事例を事細かに分けて書くわけにもいかず、どうしてもモデルケースですべてを語ってしまいがちです。

だから、雑誌や本に書かれている数字を鵜呑みにするわけにはいきません。あなたが定年になったとき、いくら受け取れるのかを自身で把握する必要があります。

自分の年金額を知るためには

自分の年金額を知るために何を見ればいいのかというと、毎年、誕生月に日本年金機構から郵送されてくる「ねんきん定期便」です。あなたが65歳になったとき、「老齢基礎年金」がいくらで、「老齢厚生年金」がいくらになるのかが記載されています。

その合計金額を12で割れば、1カ月の年金受給額になります。例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計が200万円なら、これを12で割ると、1カ月の年金受給額は16万6666円になります。

公的年金は、老後の生活を支える柱になります。50歳になったら自分が65歳以降、どのくらいの公的年金が受け取れるのかを把握しておくことが、定年後のクオリティー・オブ・ライフを高めるきっかけにつながるはずです。

いまでは希少価値に近いモデルケースの年金額なんて信じないで、「ねんきん定期便」には必ず目を通して、自分の受け取れる年金額を把握したうえで、老後の資金計画をしっかり練りましょう。

今回は、男性の視点から年金の話をしましたが、次回は、夫と離婚した妻の年金はどうなる? 死別したときは?など、女性の視点から、得する年金、損する年金の話をしたいと思います。

山中 伸枝 ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと代表

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やまなか のぶえ / Nobue Yamanaka

FP相談ねっと代表。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。アメリカ・オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」ビジネスパーソンのためのライフプラン相談、講演を数多く手掛ける。大手新聞社主催のiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAセミナーの講師など登壇も多数。金融庁のサイトで、有識者コラムを連載。著書に『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(インプレス)、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法』(日本法令)ほか。公式サイト

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