「同期入社で同じ年収」なのに年金額が違う理由 結婚年齢と妻の年齢で年金が「600万円」の差!

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Aさん=5075万2500円
Bさん=5075万2500円
Cさん=5660万4000円

なぜCさんだけが600万円近くも、受け取れる年金の額が多いのでしょうか。「若い奥様なうえに、さらに年金の額がこんなに多いなんて許せん」という恨めし気な声も聞こえてきそうです。これ、別にCさんがズルをしているわけではなくて、年金の制度設計がそうなっているからなのです。

ポイントは2つあります。1つは妻が専業主婦であること。もう1つは年の差婚であることです。

Cさんが、AさんやBさんに比べて年金の額が多くなったのは、「加給年金」を受給できるからです。この分が年間39万0100円あり、それを妻が65歳になるまで受け取ることができます。

したがって、Cさんが65歳から老齢厚生年金を受給するとしたら、その時点での妻の年齢は50歳ですから、Cさんが80歳になるまでの15年間、加給年金を受け取れるのです。15年間の合計額は585万1500円になりますから、この分がAさんやBさんよりも年金の受取額が多いカラクリになります。

もちろん加給年金は誰もが受け取れるものではありません。事実、3人のケースでもAさんとBさんは、加給年金の対象外でした。

ちなみにAさんとBさんの場合は、それぞれが65歳になったとき、Aさんの妻は68歳、Bさんの妻は65歳なので、両者とも年齢によって加給年金の受給資格が失われています。

また所得要件も問われます。例えば、妻の年間の収入が850万円未満で、所得が655万5000円未満でなければ加給年金は受け取れません。妻がこれらの条件を満たしたとき、加給年金が受け取れるのです。

なお、子どもも加給年金の対象になりますが、年齢が18歳に達する年度の末日までしか加給年金は受け取れません。AさんとBさんには子どもがいますが、両人が65歳になったときには、すでに子どもは年齢的に加給年金の対象ではなくなっています。

妻が同い年、年上でも年金額を700万円増やせる!

ところでAさんとBさんからすれば、加給年金は厚生年金の制度設計によるものであることは百も承知ですが、それでも15歳年下の妻と加給年金をともに手にできるCさんのことがうらやましくてしょうがない様子。

そこで1つだけ、逆転ホームランになる方法を伝授させていただきます。それは、国民年金と厚生年金を繰下げ受給するという方法です。

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