株安円高の同時進行に身構える政府・日銀 日経平均、385円安の1万5005円に
[東京 27日 ロイター] -急激な株安/円高に対し、政府・日銀が身構えている。従来はドル高/円安要因とみられていた米金融緩和の縮小が、新興国経済からの資金流出を加速する要因と位置付けられ、海外市場でリスク・オフムードが急速に広がっているためだ。
現時点で日本経済への影響については楽観視する声もある中で、株安と円高が一段と進む可能性があるのかどうか、政府・日銀は情報収集を急いでいるもようだ。
27日の日経平均<.N225>は、一時前週末比400円を超える大幅安となった。外為市場でもドル/円が一時、101.77円と2013年12月6日以来の円高水準となった。
安倍晋三政権は政権の支持率に大きな影響を与えかねない株価の動向に神経をとがらせており、日経平均先物の動向を注視しているという。
菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で、株安/円高について「市場に無用の混乱を招くためコメントしない」としつつ、「背景に米金融緩和に関する市場の思惑と新興国経済への懸念がある」と指摘。「今後の金融市場の動向と影響には、引き続き注視していきたい」と述べた。
政府内では前週末時点で「欧州もギリシャ問題は解決しておらず、リスクは色々とある」(政府高官)との声も聞かれたが、政権の支持率に影響があるとされる株価の先行きなどについて、急激な変調を予測する声は少なかった。
日銀は22日の金融政策決定会合で、米国で財政協議が進展し、金融緩和の縮小が市場に混乱を引き起こすことなく開始されたことから「(米経済の)不確実性が低下した」と判断。世界経済の先行きについての判断を小幅上方修正し、昨年12月の決定会合まで声明文に記載されていた「世界経済をめぐる不確実性は引き続き大きい」との文言を削除したばかりだった。
だが、その直後の欧米市場では、くすぶり続けていた中国の理財商品をめぐるデフォルト(債務不履行)懸念や予想外に弱かった経済指標などに加え、アルゼンチンの通貨急落などが拍車をかけ、米金融緩和縮小が新興国からの資金流出を加速しかねないとの懸念が高まった。
政府・日銀など政策当局の関係者は、市場の変動が急激だとして、27日朝から情報収集に努めているが、マーケットの変動が大きくなったのが、東京市場の終了した24日夜からだったため「情報収集はこれから」(ある政策当局者)との声も聞かれた。
一部には新興国から流出した資金が日本株に流入するとの期待も聞かれるが「海外投資家の円買いと日本株売りはセット」(外資系証券)のため、市場のリスクオフムードが継続する限り、円高と株安が続く可能性もある。
(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら