小学校受験対策が机上の学習で終わらないワケ 子の出来や合否に囚われるのが目的じゃない

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受験には当然ながら、机に向かって勉強するというイメージがついてまわる。しかし、それは中学、高校、大学受験の話だ。小学校受験の場合は、むしろ日々の生活のなかで得られる学びこそが最大の「受験対策」だということだ。

これは学歴以上の財産となりうるもの。小学校受験のための勉強は単に机上の学習だけで成り立つものではない。

「小学校受験をしない」という選択も

『小学校受験バイブル』と銘打っている以上、本書には「受験に勝つ子を育てる方法」「夏の制し方」「願書の書き方、面接対策」「試験本番に際しての心得」など、実践的な情報も多数盛り込まれている。

だが本書がなにより強調しているのは、あくまで「素直に育てること」、そして「親と子の絆」の重要性だ。その子の将来を決定づける最大の要因だともいえるそれらは、受験とあまり関係がないと思えるかもしれない。

しかし、なによりまず、人間としての基礎を子どもの幼少期に固めること。なぜなら、それこそが未来へつながっていくものだからだ。事実、著者はこうも言うのである。

この本は小学校受験を推奨している内容ではありますが、小学校受験は、一つの通過点であり、「小学校受験を選択しない」という選択もあります。また、やめてしまったからといって子どもの人生に大きく影響するかといったら、そうでもありません。(「おわりに」より)

『小学校受験バイブル 賢い子育てをするために』(あさ出版)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

大切なのは、笑顔であふれる家庭で育つことだからである。

ましてや「1度受験をすると決めた以上、簡単に諦めてはいけない」とも限らない。

小学校受験をすることで子どもがストレスを抱えてしまい、家庭から笑い声が消えるのだとすれば、それは本末転倒だということ。

だから、もしそうなったのであれば、受験をやめてしまってもかまわないと著者は言う。それもまた、その家庭の出した最良の答えであり、子どもに対する愛情だからだ。

本来の目的を見失わないでください。
子どもの出来や合否に囚われず、もっと先の将来を見据えて、わが子が心から幸福だと思える人生とはどんな人生かを、もう一度よく考えてみてください。(「おわりに」より)

そのため、子どもをよく見て話を聞き、性格・長所・短所・どんなところを伸ばしていきたいか、などをじっくり考えてほしいと著者は記している。いわば、子どもにとっていちばんの幸せとはなんなのかを、しっかり見極めることが大切だというわけである。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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