これを「現状維持バイアス」と言います。変化を避けようとする人の心理作用で、変化することにより利益が得られる可能性があっても、変化を恐れて行動を起こさないという習性です。
実際にはなかなか入れないのは、意志が弱いからでも情熱が足りないからでもないのです。 ストレッチゾーンの前に「現状維持バイアス」という強敵が高い壁となって立ちはだかり、コンフォートゾーンに追い返そうとしているからです。
変化を恐れる心理が行動にブレーキをかける
これから手に入れられるかもしれないこと(失うかもしれないこと)よりも、すでに手に入れているものを大切にしようとするので、日常生活の中では、
・職場に不満があっても、なかなか転職できない
・恋人同士で長く付き合うと、不満があってもなかなか別れを切り出せない
・逆に、恋人同士が長年交際していても、なかなか結婚に踏み切れない
・ずっと挑戦してみたいと思っているスポーツがあるが、なかなか手を出せない
・ダイエットしたいのに、ついつい間食をやめられない
といったことが起きるのです。そして、
・給料は低いけど、自分には合っているし大きな不満ではない
・今の相手は完璧ではないけれど、別れてももっといい人と出会える保証はない
・結婚すると楽しいかもしれないけど、いろいろと制約も生まれそうだ
・今は忙しいから、また時間ができたときに考えよう
・今月は宴会が多いから、ダイエットは来月からにしよう
などと自分に言い聞かせ、無意識のうちに変化や新しい挑戦をブロックしているのです。 もともと、現状維持バイアスは人間に備わっている生存本能、防衛本能です。
「今までこのやり方で死ななかったのだから、このやり方を続けられる限り、新しいことは取り入れずこのやり方を続けよう」と考えたほうが、生命の危険から身を守れる可能性が高まります。だから、新しいことに尻ごみするのは種の保存のために自然なことだったのです。
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