「はとバス」を支える運転士のすごすぎるバス愛 欧州製2階建てバスに魅せられ30年

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――憧れの2階建てバスを運転してみて、どう感じましたか。

村尾さんが最初に担当した2階建てバス「ベンツ ケスボーラー S216HDS型 スーパーハイデッカー」(写真:はとバス提供)

一般のバスとはまったく違いましたね。2階建てバスは運転席が1階で、2階に乗客席があります。ですので、運転席が一般のバスと比べてとても低いんです。初めてここまで低い運転席に乗ったときは、楽しかったですね。ミッションや冷暖房などのスイッチ類も、日本のバスとは異なります。ヨーロッパ製のバスに乗れること自体に特別感がありました。

――2階建てバスは、見た目がとにかくカッコイイですよね。2階建てバスで楽しめる、おすすめのツアーはありますか?

2階建てバスのツアーでは「湾岸ドライブと東京スカイツリー」がいいと思います。お台場に行って、レインボーブリッジを渡り、ホテルでバイキングを食べて、スカイツリーに行く6時間くらいのコースです。

バスの2階席からの眺め。高さがあり、とても見晴らしがいい(撮影:梅谷秀司)

屋根がない2階建てバス・オープンバスで行く「東京さくら回廊」もいいですね。桜の季節限定のツアーです。桜の枝がお客さまの目の前に来るように、左車線を走るようにしています。すると、上から「おおおおお」って声が聞こえてくるんです。そのときに車内モニターを見ると、みんな写真を撮っていて「楽しそうだな。俺もちょっと上行ってみたいな」と思います。秋の「東京いちょう回廊」もいいですよ。

1車1人制で、バスは愛車同然の存在に

――はとバスの日帰りツアーというと、昼も夜もやっていますよね。勤務体系はどうなっているんですか。

5日働いて1日休みというのが基本です。長い日ですと、1日に昼のツアーと夜のツアーを担当します。昼のツアーを終えて少し休憩をしたあと、夜のスタートになるという形で、トータル13時間くらいです。ただ、これが何日も続くことはありません。例えば、休みの前日は、夜のツアーは担当せず早く帰って、ゆっくり休みます。

――2階建てバスを担当すると、専任で運転することになるんですか。

はとバスは1車1人制といって、バスごとに担当者を決めています。ですので、2階建てバスを担当していると、自動的に専任で乗ることになります。自分は歴代で6台担当しました。新車で担当させてもらい10年間乗ったバスもあります。商売道具ですから、自分が担当する車は大事に乗りたいと思いますね。

――2階建てバスは、普通のバスとは運転がかなり異なりそうですね。特に、難しいところはどこでしょう。

2階建てバスは、どうしても高さの感覚がわかりにくくなります。ホテルの玄関の屋根が気になったり、左側を走るときに街路樹の枝が気になったりします。一般のバスは横のガラスも上までありますから感覚で高さがわかりますが、2階建てバスはわかりづらいんです。危ないと思ったら、降りて見に行きます。

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