スタバ、「スマホ注文」導入で見えた意外な課題 6月から事前注文・決済可能なサービスを開始
新サービス導入のきっかけの1つが、消費増税導入に伴う「軽減税率」の適用だ。今年10月に消費税率が10%へと引き上げられる際、店内で飲食する場合は税率10%になるが、持ち帰りの場合は軽減税率の8%が適用される。「軽減税率で持ち帰りの注目度が上がるとみている」と、SBJの森井久恵CMO(最高マーケティング責任者)は話す。
すでにSBJは、持ち帰りでは本体価格+消費税8%、店内では本体価格+10%とする方針を発表している(本体価格は同じ)。例えばドリップコーヒーのトールサイズの場合、税込み価格は持ち帰りが356円、店内が363円となり、7円の価格差が生じる。これが、持ち帰り需要の増加につながるとみている。
従業員の負担軽減につながる
新サービス導入によって店舗では、スタッフの負担が減るというメリットもある。レジでの現金やカードのやり取りが不要になるうえ、注文を聞く時間もなくなる。そのため店内の顧客に対し、より細かなサービスをすることができる。
スタバといえば、マニュアルのない接客で知られる。顔なじみの客のカップにメッセージを添えたり、肌寒い日にテラス席に座る客に毛布を持っていったりなど、 顧客に応じた柔軟な対応をする。持ち帰りの客がスムーズに受け取って出て行くようになれば、店内で過ごす客へのサービスをいっそう強化できるという見立てだ。
顧客にとっても利便性が増す。モバイルオーダー&ペイでは「注文履歴」が残る。同じ店舗で同じ商品を購入したい場合は、「再注文する」の表示をタップするだけでよい。スタバでは牛乳を低脂肪や無脂肪のものに変更するなど商品をカスタマイズする顧客が多く、「お気に入りのカスタマイズがあるお客は、すぐに履歴から再オーダーすることが可能になる」(SBJの濵野努・デジタル事業本部長)。
このモバイルオーダー&ペイは、すでにアメリカや韓国など6の国と地域のスタバでも導入されている。アメリカでは、約6人に1人がモバイルオーダー&ペイによる顧客だという。詳細な数値は非公表だが、海外ではサービス導入によって、売り上げが増加する効果がみられたといい、日本でも同様のプラス効果を見込む。
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