アメリカの株式市場が脆さを露呈し始めた 自主性を欠く日本株もいずれは下落する
もう1つは、雇用統計の内容が長期的なアメリカ経済の動きについて何を示唆しているか、という点だ。
雇用者全員が受け取る「週当たり総賃金」を雇用統計から算出し、その前年比をみると、6月は雇用者数が大きく伸びたにもかかわらず4.4%増と、5月の4.5%増からわずかながら低下した。これは、今年1月のピーク5.5%増から、おおむね減速傾向をたどっている。
それ自体が所得環境の陰り(ただし、まだ賃金の伸びは高い)と言えるが、この前年比の要因分解をすると、最も賃金の伸びの足を引っ張っているのは、週当たり労働時間が減少していることだ(前年比で直近3カ月連続のマイナス)。
企業経営は、通常経済環境が悪化し仕事量が減ると、まず残業や休日出勤を抑制して対応し、それが労働時間減となって表れる。そうした対応でも景気悪化に耐えられなくなると、その後に解雇を始める。つまり労働時間減は、将来の雇用カットを先行指標として示唆している可能性があり、懸念される。
日本株は「外部頼み」
さて、肝心の日本株の動向だが、今のところ市場はアメリカ株やドル円相場といった、外部頼みとなっている。3日の水曜日は米ドル安円高に振れて、おろおろと必要以上に外需関連株が売り込まれた感が強かった。
また、5日の金曜日は、4日のアメリカ市場が独立記念日の休場で動くに動けず、値動きは乏しく売買代金も低迷するといった、開店休業状態だった。筆者が懸念するように、これからアメリカ株式市場の楽観が剥落し、アメリカドルも同国経済の悪化を受けて下落する、という展開になれば、自主性を欠いた日本の株価も押し下げられるだろう。
そうした日本株の本格下落がすぐに起こるかどうかはわからないが、当面は今週10日(水)~11日(木)のパウエル議長の議会証言が注目され、上にも下にもアメリカの株式市況や米アメリカドル相場が振れて、それが日本株にも波乱を引き起こすことが懸念される。日経平均株価の今週のレンジとしては、2万1000~2万1800円を予想する。
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