ラガルドECB総裁誕生から何を読み解くか

慣例を覆し有力で有名な女性政治家に決定

ラガルド氏は現在IMF専務理事で、欧州で最も有名な女性の1人といえる(写真:REUTERS/Carlos Jasso)

7月2日に開催されたEU(欧州連合)臨時首脳会議において、EU首脳は次期ECB(欧州中央銀行)総裁としてフランスのクリスティーヌ・ラガルドIMF(国際通貨基金)専務理事、欧州委員長にドイツのウルズラ・フォンデアライエン国防相を指名することを決定した。

両ポスト共に女性が選ばれるのは初である(共に2019年10月31日に現職の任期満了)。1999年以降、ECB総裁と欧州委員長のポストをドイツとフランスで分け合うということはありそうでなかったことである。もっとも、欧州委員長については「欧州議会選挙における最大会派の推す候補から起用」という慣例に、今回の決定が則していないこともあり、欧州議会からの賛成が得られないとの声も少なくない。

そのほか、トゥスクEU大統領の後任にはベルギーのシャルル・ミシェル首相、EUの外務大臣に相当する外交安全保障上級代表にはスペインのジョセップ・ボレル外務大臣が選ばれている(両ポスト共に2019年11月31日に現職の任期満了)。EUの4大高位ポストはドイツ、フランス、スペイン、ベルギーに割り振られるという絵図になった。

なかでも驚きはやはりラガルド氏の指名である。これまでも欧州で高位高官のポストが空くたびにラガルド氏の名は挙がってきた。ECB総裁はもちろん、欧州委員長の候補とも言われていた。先のフランス大統領選挙でも候補に挙がっていたほどである。「ラガルド説」はビッグネームゆえにとりあえず挙がってくる「定番の噂」であり、だからこそ、本気で取り合う向きは常に少数という印象があった。

ドイツのメルケル首相と並んで欧州で最も有名な女性政治家がECB総裁に就くという展開は予想外の決定である。しかし、冷静に読み解いていくと今後に禍根を残しそうな決定であることも確かだろう。以下で解説する。

初の女性総裁とフランスの思惑

ラガルドECB総裁が実現するとした場合、少なくとも3つの論点を指摘できる。

第1に初の女性総裁であること。欧州に限らず世界的な潮流であるが、高位ポストに女性を選任する流れは根強い。元よりECBについては正副総裁2名と4名の理事からなる執行部(役員会)について1名の女性が存在したが、これで6名中2名(33%)が女性である。ちなみに1名の理事はドイツのラウテンシュレーガー理事であり、ここでもドイツとフランスが分け合ったかたちとなる。

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