熊本県の温泉郷で「地獄を見た」3兄弟の奮闘 「熊本で最も最悪な土地」の復興を目指して

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金融機関はシビアだ。家も宿も土砂にのみ込まれた「青風荘」の河津さんたちの資金調達を支えているのは、奇跡的に被害を免れた混浴露天風呂「すずめの湯」だ。乳白色の優しい手触りの名湯、「すずめの湯」。土石流災害からの難をかろうじて逃れ、今も、コポコポと音を立て湯は湧き続ける。露天から立ち込める湯気が兄弟の心を癒やし、そして奮い立たせる。

2019年春に営業を再開した熊本県南阿蘇村・地獄温泉「青風荘」の「すずめの湯」。2019年7月2日撮影(写真:GARDEN Journalism)

2019年春に日帰り温泉として再開にこぎ着けた。「すずめの湯」は復興を起点と考える河津3兄弟の想いをデザイナーが体現した造りだ。受け継いできた木造建築を両脇から現代建築が支える。

「現代の湯治を提案したい」と湯浴み着も導入。東京や大阪からも客足が絶えない。若者たちもくる。「災害があったからダメになったのではない。これまでどおりではダメだから新たな価値を創っていく」という想いが、再建を目指す「青風荘」のエンジンだ。

3兄弟を襲う「さらなる試練」

こうして1歩1歩、再建の道のりを歩んできた南阿蘇村地獄温泉「青風荘」。そうした中、警戒するのが今回の大雨だ。2019年7月2日に再び訪熊。取材中に明らかになった敷地内での土砂崩れ。進さんからは思わずため息が漏れた。臨時休業を迫られ「すずめの湯」へあがるにも新たなルートを客に案内しなくてはならない(2019年7月4日から営業再開)。

熊本県南阿蘇村ではこの日、雨は小康状態で午後から夜にかけて強く降ることはなかった。しかしそれでもこれまでの雨で山からは染み出るようにして水が流れてくる。これ以上災害が起きてほしくない。最大級の警戒が必要な今回の雨がもどかしい。

2019年7月2日時点の熊本県南阿蘇村・地獄温泉「青風荘」周辺の様子(写真:GARDEN Journalism)

現場では天候と向き合い格闘している人たちがいる。支えることも支援の1つ。想うこともときには力になる。

南阿蘇村地獄温泉「青風荘」の再建の様子は随時HPなどで知ることができる。再建にかかる費用10億円以上を銀行からの借り入れや補助金申請、クラウドファンディングの活用などで綱渡りで進めている。河津3兄弟は今も仮設や、みなし仮設住宅で暮らす。

熊本市中心部では復興が進み地震の記憶も心のうちにしまわれつつある。

熊本県南阿蘇村・地獄温泉「青風荘」社長の河津誠さんの背中には「負けてたまるか」の文字(写真:GARDEN Journalism)

「忘れられてはいけない。再び、再興し旅館のファンを呼び戻す」兄弟たちの決意は固い。

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GARDEN編集部

『GARDEN Journalism』(https://gardenjournalism.com/)は、公益事業者の発信を支援するプロジェクトGARDENが運営するニュースメディア。社会問題と向き合い、困っている人たちの一助になろうと奮闘している、NPOやNGO等の方々の活動を取材し、動画と記事で発信している。

4つの支援の形として、以下の4つのマークを用意。

・必要な資金を寄付することで種を育てる、「支援したい」水差しのマーク

・発信し情報を多くの人に広めることで種を育てる、「取材したい」カメラマーク

・ボランティアやイベントに参加することで種を育てる、「参加したい」花びらのマーク

・気持ちを届けることで種を育てる、「共感する」お日様のマーク

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