シーサイドライン事故、見えてきた「逆走」対策 安全対策は検討進み、原因調査は今後も続行

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1つは、車両が正常であることを地上側に伝える信号の発信条件に、F線・R線に電圧がかかっているかどうかを加えるための回路変更だ。

新たに「F・R線加圧検知リレー」を設置し、F線・R線の加圧(電圧がかかった)状態が入力されないと「車両正常」の発進が地上側に届かないようにする。地上側は「車両正常」の信号を受けて出発指令を出すため、これによりF線・R線に異常があれば出発指令が出なくなる。

また、地上側に車両の進行方向が切り替わったかどうかの情報を送る回路はF線・R線に変え、さらに全車両をループして戻ってくる形とし、回路の末端から地上に情報を送る形にする。この形だと進行方向が変更されたことを確実にフィードバックでき、仮にどこかでケーブルが断線した場合は進行方向の情報が伝わらなくなり、異常を検知できる。

これらの対策により、ケーブルが断線すると進行中は非常ブレーキが動作し、駅に停まった状態では列車が動かなくなる。さらに制御系と信号系を統合する追加対策をとることで、断線により先頭車両が認識できなくなるため、異常を発見できる体制が何重にも築かれることになる。

「逆走」ほかの可能性も検討

検討会では、制御ケーブルの断線以外に、無人での列車自動運転の進行方向切り換えを妨げるケースはないかも確認された。

横浜シーサイドラインは、実際に起きることは極めてまれだが、複数の条件が同時に重なった場合に理論上起こり得るケースとして、ホームでの停車位置が行き過ぎた(オーバーラン)場合に停車位置を修正するために列車を定位置に戻す「停止位置後方修正リレー」が何らかの原因で誤動作した場合を挙げた。

リレーが誤動作すると、F線とR線の状態が逆転し、逆走する可能性が考えられるという。ただ、このリレーは通常運行ではオフ状態で、地上側でオーバーランを確認した後に手動で作動させなければ動かない。万が一列車が逆方向に動き出した場合でも、この場合はATC(自動列車制御装置)により非常ブレーキが作動するため、衝突事故にはならないという。検討会はこの説明を妥当と判断した。

対策案については鉄道総合技術研究所に同社が依頼し、検証が進められている。この裏付けが得られるまで、無人で自動運転を行う全国の鉄道事業者では、折り返し運転時などの出発監視を地上側で維持する。

国交省は第3回の検討会を7月中に開催し、横浜シーサイドラインの逆走事故対策の妥当性について方向性を示す予定だ。また、無人の自動運転の新しいリスクの洗い出しを3回目以降も続ける。

中島 みなみ 記者

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なかじま みなみ / Minami Nakajima

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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