マツダは、なぜ「似通った車」を造り続けるのか MAZDA3やCX-30など、外観が似ている理由とは

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その後、マツダ車の世界生産台数は2001年に96万台、2002年には100万台と徐々に持ち直し、2010年には131万台まで回復した。

この業績回復の過程で、2005年頃に立案されたマツダの新たな戦略が「魂動デザイン」と「スカイアクティブ技術」であった。魂動デザインはマツダ車の外観表現で、疾走する動物からイメージを膨らませている。前輪駆動車でもフロントウインドーの位置を後方に寄せてボンネットを長く見せ、サイドウインドーの下端を後ろ側へ持ち上げることにより、躍動感を演出する。

このデザインをすべてのマツダ車に当てはめたことから、Webサイトの「カーラインナップ/乗用車」のように、どの車種でも外観が似通った。

背景にある合理化やコスト低減

スカイアクティブ技術も同様だ。各種のエンジン、6速のATとMT、プラットフォームなどの共通化を進め、複数の車種が同じメカニズムを使う。アクセラがマツダ3にフルモデルチェンジされて新世代プラットフォームを採用したが、今後はほかの車種もこのタイプに移行する。

厳密にいえば、プラットフォームはボディーサイズに応じて複数用意するが、基本的な考え方は魂動デザインのように共通だ。運転すると車両が操舵角に応じて正確に向きを変え、機敏でも鈍くもない。ドライバーが車両と一体になって運転の楽しさを満喫できるクルマ造りを目指している。

ロードスターは後輪駆動だから、プラットフォームはエンジンの配置なども含めて前輪駆動と大きく異なるが、基本的な考え方は同じだ。

メカニズムを共通化した背景には、運転感覚の統一と併せて、合理化やコスト低減もある。メカニズムの種類を抑えれば、開発力を集中させ、優れた商品を割安に造ることが可能だ。また1つの車種が改良を行えば、ほかのマツダ車にもマイナーチェンジなどを施して、水平的に展開できる。各車種を綿密に進化させられることも特徴だ。

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