老朽で猶予なし、白馬「通年リゾート化」の賭け 身売り・廃業相次ぎ、ようやく動き出す村再生
同社は白馬村にある八方尾根、岩岳、小谷村の栂池(つがいけ)高原の3つのスキー場を運営している、エリア内最大のスキー場運営会社だ。2012年に東京急行電鉄から日本スキー場開発が同社を買収し、再建を進めてきた。
「外国人スキー客が増えたおかげで数年前から、ようやく新たな投資に目を向けられるようになった」(和田社長)。そこで始めたのが、通年楽しめる「マウンテンリゾート化」への脱皮だ。
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冒頭の展望テラスも、通年リゾート化への取り組みの中の1つ。北海道・トマムの星野リゾート「雲海テラス」の人気化で、今や観光客を呼び込みたい各地の高台に、景観を楽しむ展望テラスは存在する。5月の山頂を見慣れた白馬村出身者は「この景色が売り物になるのか、人を呼べるのか半信半疑だった」というが、和田社長は「もともと、絶景が見られるゲレンデとして知られた白馬岩岳に作れば、ほかの展望テラス以上にポテンシャルは高い」と考えた。
白馬・岩岳の街全体を「高級古民家リゾート」に
宿泊施設が減少し、施設数が足りなくなれば、スキー客や観光客が増えても受け入れは限定的になる。そこで、リフト運営業者である白馬観光開発自らが、取り組む必要のない宿泊施設づくりも始めた。白馬村岩岳地区全体を「高級古民家リゾート」にする構想を描く。
昨年12月にオープンした長期滞在用の外国人向け宿泊施設『旅籠丸八 壱番館』は、この地で150年ほど営まれてきた民宿を改装した。全部で6つあった部屋を2部屋にし、定員6名、1部屋約140㎡のスイートルームにした。キッチンを備えており、料金はスキーシーズン2名利用で1室11万円から。民宿時代は1泊2食付きで1人6000~7000円だったのが、髙価格帯の宿に生まれ変わった。
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同時にオープンした『旅籠丸八 弐番館』も同様に、後継者がおらず高齢になったことを理由に昨春に廃業した民宿をリノベーションした。成功事例が出てきたことで、自分のところの建物も任せたいという宿泊事業者が出てきているという。
白馬村のこれからの競争相手はカナダやスイス、オーストリアなど海外のスキー場になる。村内スキー場のリフトは、20~30年前に設置されたもので更新の時期が来ており、外国人スキーヤーを満足させるために古いリフトの掛け替えは必須。「白馬岩岳でまずは成功事例をつくり、八方尾根、栂池高原にも展開していく」と和田社長は意気込む。マウンテンリゾート化の成功が、スキー場白馬の再生のカギを握っている。
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