老朽で猶予なし、白馬「通年リゾート化」の賭け

身売り・廃業相次ぎ、ようやく動き出す村再生

展望テラス「ハクバ マウンテンハーバー」から望む白馬三山の絶景は格別だ(記者撮影)

「登山が趣味なのでこのあたりは何度も訪れているが、ゴンドラに乗るだけで眺められる頂上からの景色はまた格別。おいしいコーヒーを飲みながら座っていると、時間が経つのを忘れる」

埼玉県から訪れた60代の夫婦はこう言って満足げな表情を見せた。

国内有数のスキーリゾート地として知られる長野県白馬村。5月に訪れると、山頂にはもはや雪がないというのに、ゴンドラが黙々と動いていた。雪のないスキー場に降り立った客は、展望テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(ハクバ マウンテンハーバー)」を目指していた。

スキー客はピーク時の3分の1に

マウンテンハーバーは2018年10月のオープン以降、1000台入る駐車場が満車になるほどの人気ぶりだ。今年はスキーシーズン後の4月からゴールデンウィークまでに、すでに1万3000人が来場している。

仕掛け人は、白馬地域で3つのスキー場を運営する白馬観光開発。白馬村、小谷村、大町市の3市村には合計10のスキー場が存在するが、実はここに至るまで苦難の道のりがあった。

白馬村のスキー客は、スキーブームだった1990年代初めに年間280万人近くまで膨らんだが、現在はその3分の1の100万人弱まで縮小している。5年前から10のスキー場が一体となってプロモーションを展開し、オーストラリアや台湾、香港などからのスキー客を呼び込んでいるが、日本人スキー客の減少分を何とか補う程度にとどまっている。

1990年代初めをピークにスキー客は減少する一方だったが、白馬村には「(1998年の)長野五輪でまた活気を取り戻す」という強気な見方が主流だった。白馬村北部で親世代から民宿を営む岩岳観光協会の吉沢勇会長は「冬場の100日間働けば、親子3世代が1年間暮らせる収入を得られていた」と振り返る。

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