日産株主総会、「ルノー棄権」で手詰まりの懸念

総会混乱は日産のマネジメント不足に原因

――大変なこととは?

定款変更を諮る2号議案は「特別決議」といって、剰余金の処分や取締役の選任といった普通の議案よりも可決の条件が厳しく定められている。具体的には、議決権を行使できる株主の過半数が出席(定足数)し、そのうち3分の2が賛成することが可決の条件だ。この定足数を3分の1まで緩和することも法的には可能だが、日産は定款でそのように定めてはいない。

中島茂(なかじま・しげる)/中島経営法律事務所代表、弁護士、弁理士。東京大学法学部卒業。経団連「行動憲章」策定・改定などに関与。投資信託協会規律委員会委員などを務める(撮影:尾形文繁)

43%の議決権を持つルノーが実出席せず、委任状も出さず、議決権行使書面も出さないというのであれば、日産は残り57%の株主のなかから、実出席、委任状出席、議決権行使書面の提出などで定足数を確保しなければならない。この要件を満たすのはかなり難しい。また、定足数を満たせたとしても、ルノー以外の株主で3分の2の賛成を確保する必要がある、それは難しい。

ルノーが実出席したうえで2号議案について棄権した場合、定足数を満たすことができるが、3分の2の賛成を得ることは不可能だ。つまり、ルノーの賛成を得ない限り、2号議案は通らない。

ルノーとの念入りな意見調整が必要だった

――日産は西川廣人社長名で「コーポレートガバナンス強化の動きに完全に逆行するもので、誠に遺憾」という声明を出しました。総会直前に棄権を持ち出すのは日産に対するルノーの「揺さぶり」でしょうか。

メディアも含めて誤解があるようだが、そもそもルノーは敵ではない。1999年に日産が危機に陥ったとき、第三者割当増資をルノーに引き受けてもらった。そのことで日産は救われた。それ以降、長く一緒にやってきたパートナーだ。

現行の監査役会設置会社から指名委員会等設置会社に移行するということは、会社のガバナンスにかかわる大問題。パートナーと念入りに意見調整して、万全の構えで移行すべきことだ。それなのに総会の2週間前に実は賛成できないとルノーに表明されたということは日産のマネジメント不足にほかならない。

これが敵対的買収で乗っ取りにかかっているなら話は別だが、ルノーはそうではない。ルノーが敵対的に揺さぶりをかけてきて、日産が押し返してというニュアンスの報道を見るが、本質的にそれは違う。一般株主の眼からすれば、日産を信頼して株を買っているのに、総会直前になって大株主ともめているのは「困ったこと」として映るのではないか。

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