日産株主総会、「ルノー棄権」で手詰まりの懸念 総会混乱は日産のマネジメント不足に原因
どのように「棄権」するのか、はっきりしない
ーー日産が株主総会で提案する第2号議案は、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ移行する定款変更案です。これに対してルノーが棄権する意向を示しましたが、どんな意味を持つのでしょうか。
まず「棄権」というが、実際にどうやって棄権するかは実ははっきりしない。株主総会で議決権を行使する方法として、①実出席(実際に出席する)して投票する方法、②出席せずにほかの株主に委任状を出して、代理人投票する方法、③出席せずに、書面(議決権行使書面)やインターネットで投票する方法と、大きく3つある。
棄権というのは、この3つに応じて、①実出席はするものの、問題の2号議案には投票しない、②実出席せず、ほかの株主に委任状も出さない、③実出席せず、委任状も出さず、書面やネットによる投票もしないなどの方法が考えられる。
実際に出席した場合、会場で会社側から「2号議案に賛成の方は拍手をお願いします」と諮られたとき、ルノーは「棄権」と大声で意思表明するのだろうか。一般的には黙っていると賛成票としてカウントされてしまう可能性があるので黙っているわけにはいかない。
しかしパートナーシップを表明している企業が、大声で棄権の意思表明することはあまり考えられない。これは委任状出席でも同じだ。これに対して、議決権行使書面で棄権を表明する場合は、書面に棄権と書く欄があればそこにチェックすればよい。棄権の欄がなければ、棄権と書きこむことになる。
ルノーが総会に実出席しない、委任状も出さない、書面やネットによる投票もしないとなると、すべての議案に対して棄権となる。43%の議決権を持っているルノーが棄権すると日産にとっては大変なことになる。