「やることが多すぎる上司」が結局ダメなワケ 「心配すぎて任せられない」ではダメ

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多かれ少なかれ、“その業務”に精通していると、こだわりが生まれてしまい、よほどの理由がないと人に任せられなくなるものです。部下のスキル不足が原因で「任せられない」のではなく、自分がやったほうがベターだと思っているので「任せたくない」、これが本当のところなのです。

白状しますと、かつての私はそうでした。部下を信用していないわけではありませんでしたが、“その業務”に精通しているために、細かい点が気になるのです。企画書の色使いやフォントまで気になります。なので、自分で作成したほうが早いと考えてしまうのです。

部下の出番を奪っていないか

営業に同行したときもそうです。商談の肝がわかるので、つい上司の自分が商談までしてしまうこともありました。これでは、部下の出番を奪ってしまいます。部下には、自分の姿を見て同じようにやってくれればいい、と考えたりするわけですが、それはエゴでしかないのです。

リーダーに必要なことは、過去の「経験」でうまくやることではありません。必要なことは、未来に対する「投資」です。部下の育成も投資。あなたが、過去の「経験」を使ってうまくやっても何の投資にもなりません。部下に仕事を任せ、失敗してもいいので、経験をさせることこそが理想のリーダーなのです。

以前、会社員だったとき、新規事業の責任者に任命されたことがありました。しかし恥ずかしながらスタートダッシュが悪く、初年度は想定以上の赤字だったのです。すると本社から1通のメールで呼び出しがかかりました。「副社長が話を聞きたいとおっしゃっています」と。

真っ青になりました。私が言葉を間違えると、その事業が中止になってしまうかもしれなかったからです。直属の上司が副社長と距離の近い方でしたので、「話をつけてもらえないか」と助けを乞いました。上司同士で話をつけてくれたら、一瞬で決着するはずだったからです。

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