モスクワ地下鉄から「大阪メトロ」が学ぶべき点 特徴ある駅デザインは観光資源に活用できる

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モスクワ地下鉄は構内における音楽活動にも力を入れている。先ほど紹介したミニコンサートも開催できる場所は事前に指定されており、指定場所には丸型のステッカーが貼られていた。もちろん、ミニコンサートの観客が通行人の邪魔にならないように配慮されている。

駅構内で行われているミニコンサート(筆者撮影)

実は地下鉄構内で演奏するにはオーディションに合格しなければいけない。2018年11月9日付のモスクワタイムズによると、地下鉄のミニコンサートはモスクワ地下鉄が行うプロジェクト「地下鉄の音楽」の一環とのこと。昨年3月にオーディションが行われ約200組のミュージシャンが選出された。主に演奏は旅行のオフシーズンに開催されている。日本の地下鉄ではまず見られない光景だけに、文化大国ロシアを見せつけられた1コマだった。

日本の地下鉄はハードよりソフトでは?

国内でも大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)では、駅のデザインや装飾に関して、市民からさまざまな意見が出るようになった。

2018年7月には2018~2024年度内に御堂筋線と中央線の計15駅をリニューアルする計画が発表された。リニューアルのコンセプトは駅ごとに決められており、心斎橋駅は「テキスタイル」、新大阪駅は「近未来の大阪」をコンセプトにリニューアルする。大阪市民の間ではリニューアル案に関してさまざまな論争が起き、反対署名を集める署名サイトまで出現した。賛否両論はあるが、少なくとも大阪メトロのリニューアル案並びに地下鉄に対する関心は高いようだ。

そこで、大阪メトロの地下鉄駅をめぐるツアーを開催してはどうだろうか。御堂筋線の心斎橋駅にあるシャンデリア風の照明など、魅力的な駅は少なくない。ツアーを開催することで、大阪の魅力を再発見でき、モスクワ地下鉄のように地下鉄そのものを観光資源として生かす動きも出てくるのではないか。

また、大阪は東京とは異なる独自の文化を育み、現在でも多くの観光客を魅了している。モスクワ地下鉄でのミニコンサートではないが、地下鉄構内で上方文化をリアルに感じられる場もあっていい。興味深いイベントも開催されるようになったが、ハード面でだけでなくソフト面におけるさらなる遊び心を見たいものだ。

新田 浩之 フリーライター

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にった ひろし / Hiroshi Nitta

1987年兵庫県神戸市生まれ。2013年神戸大学大学院国際文化学研究科修了。関西の鉄道をはじめ、中欧・東欧・ロシアの鉄道旅行、歴史について執筆。2018年にチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」に就任。

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