モスクワ地下鉄から「大阪メトロ」が学ぶべき点 特徴ある駅デザインは観光資源に活用できる

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もともと、モスクワ地下鉄の豪華な装飾はソビエト連邦の国力を示すショーウインドーとしての役割を果たしてきた。

5号線コムソモーリスカヤ駅の装飾は美術館のようだ(筆者撮影)

特に1930年代から1950年代にかけてソ連を率いたスターリンの時代に豪華な駅がつくられたという。建築スタイルも時代によって変わり、スターリンの死後はシンプルなつくりになった。

現在はホームの壁画に抽象的なデザインを施した駅も登場している。なお、資料によると各駅のデザインは時代順に「アールデコ」「ソビエト的ネオクラシック」「社会主義リアリズム」「スターリン様式」「モダニズム」「ポストモダン」「ネオモダニズム」に区分されている。

写真撮影を勧めるステッカー(筆者撮影)

従来の「ロシアの地下鉄は写真撮影厳禁」というお堅いイメージも一新した。ソ連時代から近年まで原則としてロシアの地下鉄構内は写真撮影が禁じられていたが、現在は写真撮影が許されるばかりか、駅構内にはおすすめの撮影スポットを示すステッカーが貼られている。

地下鉄構内における「撮影解禁」の動きは他の旧ソ連諸国にも波及しており、2018年6月にはウズベキスタンのタシケント地下鉄が写真撮影を解禁した。また、民間会社によるモスクワ地下鉄ツアーも開催。筆者も90分間のツアーに参加したが、英語によるガイドの説明はわかりやすく、モスクワ地下鉄を観光資源として活用する意気込みを感じた。日本の地下鉄も「おすすめ撮影スポット」を積極的に紹介したら観光客に喜ばれるはずだ。

観光資源として生かすならメンテナンスも重要だ。モスクワ地下鉄では5月初旬の長期休暇前に構内の大掃除を実施している。大掃除は夜間に行われ、プラットホームだけでなく装飾に付着したホコリも丁寧に拭き取る。このようなメンテナンスのおかげで、いつ訪れても地下鉄構内の装飾は光り輝いている。

駅構内でミニコンサート

ソ連時代を通じてロシアは文化の国として知られる。ロシアの街中を歩いていると、ストリートミュージシャンに出くわすことが多い。総じて演奏者のレベルは高く、音楽を聴くために立ち止まる人も少なくない。休日になると人だかりができるくらいだ。

実はモスクワ地下鉄の構内でもミュージシャンによるミニコンサートが行われている。時々、駅構内を歩くと単独もしくは数人からなるグループでミュージシャンが演奏している。ジャンルは現代音楽からクラシックまで実にさまざま。クラシック音楽のミニコンサートでは多くの人が集まり、後列だと演奏者の姿が見えないほど。気のせいか街中にいるストリートミュージシャンよりもレベルが高いように感じた。

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