ブロンコビリー「南米産牛肉」投入を急いだ理由 外食チェーンで初めてウルグアイ牛を商品化
国土の88%が草原というウルグアイでは、牛は放牧されて牧草を食べて育つ。日本と同じ温暖湿潤気候だが、夏の平均気温は22~23℃で、北海道の札幌や函館と同程度の冷涼な気候だ。エサとなる「ライグラス」という牧草の栄養価が高く、それを食べて育った牛の品質もよい。
放牧されて育つため運動量は比較的多く、そのため赤身の部分が多い。低脂質で高タンパク質の赤身肉は、昨今の健康志向の高まりで人気が上昇している。ただ、北アメリカ産などと比べてやや固いのも事実で、実際に来店して食べた高齢の顧客からは、そうした率直な意見も寄せられているようだ。
安価というメリット
その一方で、価格面でのメリットは大きい。今回、ブロンコビリーが発売したウルグアイ牛のサーロインステーキは、150グラム1598円(税込み、以下同)から。5センチほどの厚切りで、炭焼きで提供される。オーストラリアなど他国産を使用したリブロースステーキは150グラム2138円からとなっており、ウルグアイ牛はそれより500円程度安い。
同社の古田光浩取締役は「オーストラリア産と比べて関税は12%ほど高いが、それを加味してもウルグアイ牛の仕入れ価格は安い。伝統的に牛肉を食べてきた国なので、低コストで生産できる仕組みを構築しているようだ」と話す。カナダやニュージーランド産牛肉はTPP発効で関税が低くなったが、その分需要が殺到し、結果的に「トータルの仕入れ価格は、今までとあまり変わらない」(ほかの外食チェーン関係者)という。
発売から1週間を経て、ウルグアイ牛の売れ行きはまずまずだという。それにしても、2月に日本の農林水産省がウルグアイ牛の処理施設を指定し、そこからわずか3カ月で販売を開始するのはスピード感がある。
5月20日に記者発表会を控えながら、冷蔵船で50~60日熟成されて日本に到着した牛肉を社長など会社幹部が試食したのは、わずか9日前の5月11日のこと。「企画が先行していたが、もし試食してダメならば商品化しない」(竹市社長)と、いわば“賭け”のようなスケジュールで進行していた。
そこまでして、ウルグアイ牛の商品化を「急いだ」のはなぜか。
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