最新版 「新・企業力ランキング」 トップ200 2014年版・財務面から見た、企業の真の実力

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最後に、ランク203位以下の企業もいくつか見ておこう(※203位以降、2000社の全ランキングはこちらをご参照)。前回45位のヤマダ電機は272位まで下落。11年3月期の売上高2兆1532億円から12年3月期1兆8354億円、13年3月期1兆7014億円と減収が続く。最終利益はピーク時11年の3分の1となり、立て直しが急務となっている。

また、08~10年まで3年連続トップだった任天堂(2980点)は1647位までランクを落とした。11年8位、12年219位とランクダウンが止まらない。13年3月期の売上高は6354億円とピーク09年3月期1兆8386億円の3分の1。同期間に営業損益は5552億円の黒字から364億円の赤字になるなどで成長性得点は最低の500点だった。

自己資本比率などの安全性指標は高く、安全性得点は998点と上位だが、収益性、規模の得点が減少し、総合順位は大きく下落した。1月17日には、今2014年3月期の通期予想を下方修正。営業損益は、1000億円の黒字から一転、350億円の赤字に転落する見込みだ。ゲーム業界は激しい構造変革の波にさらされているが、同社が復活のきっかけをつかめるのか、要注目だ。

●第8回新・企業力ランキング(東洋経済・上場企業財務評価)について

東洋経済新報社「財務・企業評価チーム」が作成。アドバイザーは明治大学商学部・大学院商学研究科の山本昌弘教授(研究担当副学長)。東洋経済が保有する財務データを使い、多変量解析の主成分分析手法で成長性、収益性、安全性、規模の4つの分野で評価した。

対象会社は2013年9月1日時点に上場している一般事業会社で、銀行、証券、保険、その他金融を除き、各新興市場を含む。決算期は2013年3月期までが対象。財務データは上場後の決算で直近3期平均(最低1期は必要)を使用。指標データなどで分母がマイナスになり計算ができない場合、その期は「計算不能」となる。

決算ベースについては、各期とも連結優先。ただし、連結開始や廃止などで連結と単独が混在する場合もある。また、変則決算がある場合は6カ月以上の決算期のみ使用。売上高、営業利益、経常利益、当期利益などのフロー項目は12カ月に調整した。

分析手法として使ったのは多変量解析の主成分分析。この手法は多数の変数を要約し、少数の情報で全体の特性を代表させることができる。財務データのような多数存在する項目を少ない情報に集約でき、総合評価が可能になる。
 主成分分析で求められた第1主成分得点を偏差値化し、異常値をならすために最大70、最小30に変換。さらに最高1000、最低500に調整して各分野の得点とした。4つの評価分野の各得点を合計したものが総合得点となっている(総合得点の最高は4000点)。

■ランキング算出に使用した財務指標

【成長性】売上高増減率、営業利益増減率、営業キャッシュフロー増減率、総資産増減率、利益剰余金増減率

【収益性】ROE(当期利益÷自己資本)、ROA(営業利益÷総資産) 、売上高営業利益率(営業利益÷売上高)、売上高当期利益率(当期利益÷売上高)、営業キャッシュフロー

【安全性】流動比率(流動資産÷流動負債)、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)、固定比率(固定資産÷自己資本)、総資産利益剰余金比率(利益剰余金÷総資産)、利益剰余金

【規模】売上高 、EBITDA(税引き前利益+支払利息+減価償却費)、当期利益、総資産、有利子負債
注)EBITDAの支払利息と減価償却費はキャッシュフロー計算書掲載の数字を使用

 
■CSR企業総覧

企業評価の新たな視座として浸透してきたCSR(企業の社会的責任)。上場企業をはじめ有力1210社におけるCSRの取り組みを、国内最大規模のデータベースから各企業個別に紹介した、日本で唯一の刊行物。

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岸本 吉浩 東洋経済 記者

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きしもと よしひろ / Yoshihiro Kishimoto

1996年東洋経済新報社入社。以来各種企業調査にかかわる。『CSR企業総覧』編集長として、CSR調査、各種企業評価を長年担当。著書に『指標とランキングでわかる! 本当のホワイト企業の見つけ方』など。2023年4月から編集局記者、編集委員、『本当に強い大学』2023年版編集長。

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