30年間無事故「シーサイドライン」逆走のなぜ 想定にない事態、直前までトラブルなし
同線の列車はATO(自動列車運転装置)によって自動運転され、ATC(自動列車制御装置)が速度オーバーや先行列車への接近などを監視して安全を守る仕組み。車両に搭載したATO装置は次の駅までの距離や速度など路線の全データを記憶しており、このデータや地上側からの制御指令、車両の走行距離や速度情報などに基づいてATO装置が走行を制御する。
終点では、発車時間になると駅の地上装置(継電連動装置)がポイントの切り替えなど出発ルートを確保し、列車に進行方向の切り替えと出発の合図を出す。列車側に異常があれば発車できないシステムだ。逆走は想定されていないため、万が一逆向きに走り出した際に停止させる装置はないといい、列車は車止めに衝突したことで止まった。
オーバーランもなかった無事故車両
今後の事故調査で焦点になるとみられるのは、あり得ないはずの逆走に至った原因が車両側の異常なのか、あるいは地上側だったのかという点だ。
現在シーサイドラインを走る車両は、2010~14年に導入された「2000形」。16編成あるが、会社によると、いずれも駅でのオーバーランを起こしたこともない。今回事故を起こした編成は、2000形の「41編成」。5月30日に行った目視での「列車検査」で異常は見られず、2017年に実施した走行部分などを分解整備する「重要部検査」でも異常はなかったという。
事故当日は、始発列車として新杉田を5時13分に出発。新杉田―金沢八景間を15往復し、事故を起こした新杉田20時15分発の並木中央行きで運行を終える予定だった。会社によると、事故発生前の運行中にトラブルは一切なかった。
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