「ふるさと納税」法改正がむしろ歓迎される理由 ルール強化でふるさと納税は進化していく

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――自治体の戦略はどのように変わりますか。

一律のルールがはっきり決まったことで、そのルールに従って「さらに返礼品の魅力を高めよう」と考える意欲的な自治体が多い。送料がどんどん上昇している現状を受け、「それならば来てもらおう」と、「コト消費」を意識した返礼品を揃える自治体も出てきている。

須永珠代(すなが・たまよ)/群馬県伊勢﨑市出身。大学卒業後、派遣社員やITベンチャーを経て、2012年4月にトラストバンク(ふるさとチョイスの運営会社)を起業。同社代表取締役。同年9月に全国初のポータルサイト「ふるさとチョイス」を立ち上げた。トラストバンクは2018年11月に東証一部上場のチェンジに買収された(撮影:尾形文繁)

例えば、花火大会やマラソン大会の参加券といった体験型のものや、「清水寺の夜間参拝」「ダム内部の見学」など、普段公開していないものを寄付者だけに特別に見せるものもある。

――寄付する人が返礼品や寄付先を変えることがあるのでしょうか。

ほとんどの自治体は、総務省の方針に沿って返礼品をそろえてきた。それを利用してきた人たちにとって、影響はほとんどない。

――過剰な返礼品が問題となった大阪府泉佐野市や静岡県小山町に寄付をして、ギフト券を受け取っていた人もいます。

その人たちに「共通ギフト券がなくなったからやめますか」と聞いても、おそらく「やめない」と答えるだろう。「お得」なものにめざとい人は、変わらずお得なものを探すはず。

自治体は魅力を高める工夫が必要に

自治体側も、今より自助努力が求められる。「3割以下」の制限が課せられたので、今まで寄付額の8割を返礼品としていた自治体は、今後は自分たちの努力と工夫で魅力を高めていかなければならない。一般的な企業と同じように、良い意味での競争意識が出てくるのではないか。

――返礼品を「地場産品」に限定することに、どのような意味があるのでしょうか。

地場の中小企業や農業・漁業者などは卸取引が中心で、生産者の顔が見えないことが多い。コメはその典型で、どんなにこだわった育て方をしても、生産者の名前は出ずに、例えば「つや姫」ならば「つや姫」という名前でしか市場に出ない。

ところが、ふるさと納税制度では、生産者が消費者に地場産品を直接届けることがほとんど。つまり、「Aさんのコメ」として消費者の手に渡る。「Aさんのつや姫は全然味が違う」と口コミで伝わるようになると、リピーターが増えて、ひいては「Aさんのコメ」がブランド米になる可能性だってある。

そこで自信をつけてインターネット通販を自分で始めたり、みかんだけを売っていた農家がジュースやゼリーなどの加工・販売も手がけたりと、事業の範囲を広げる事例が今後ますます増えていくことも考えられる。

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