「車で乗りに来る」観光列車が赤字鉄道を救った 廃線論を一掃、人気キャラで「親子」客を狙う
清流・長良川に沿って、JR高山本線の美濃太田駅(岐阜県美濃加茂市)から北濃駅(同県郡上市)まで72.1kmを北上する第三セクターの長良川鉄道が今春、第3弾となる観光列車「ながてつチャギントン」を走らせ始めた。
長良川鉄道は2016年に同社初の観光列車「ながら」森号・鮎号を走らせ、2018年にはよりリーズナブルな観光列車「ながら」川風号を増備した。そのうえで、さらに今年「ながてつチャギントン」をスタートさせたのはなぜなのか。
試乗会を取材しつつ、2011年の就任以来各種のイベントなどを展開し、同社の立て直しを図ってきた同社の坂本桂二専務にその理由を聞いた。
畳敷きの車内にはおもちゃが
「ながてつチャギントン」はその名のとおり、英国発の人気鉄道CGアニメ「チャギントン」をテーマにした列車だ。刃物の町として知られる関から、徹夜踊りで知られる郡上八幡までを約1時間で走る。募集定員は30人だが、親子での乗車が前提となるため一般的な観光列車に比べて賑やかだ。
ホームでの受付を終えると、まずは岐阜県立関有知(せきうち)高校ダンス部員による「ジャンケントレインダンス」が披露される。TVアニメ「チャギントン」の番組エンディングで見られるもので、ノリのいいダンスミュージックを使う。このダンスの見学で、ちょっと緊張気味だった乗客たちが一気に前のめりになることが見て取れる。
ダンスが終わり、いよいよチャギントンのキャラクターをラッピングした車両に乗り込むと、一斉に歓声が上がる。車内は畳敷きとなっていて、そこにはチャギントンのおもちゃが待っているのだ。子どもたちは靴を脱ぐのももどかしく、おもちゃに一直線。すぐに動かして遊び始める。
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