容赦なき路線廃止・減便、窮地の関西国際空港

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容赦なき路線廃止・減便、窮地の関西国際空港

日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が国土交通省に提出した2009年度の路線便数計画が明らかになった。未曾有の景気後退を受け、JALは10路線、ANAは18路線の廃止、減便を予定しており、原油高を背景にした昨年度、今年度に続く大規模なリストラになる。

中でも不採算路線として浮き彫りになったのが関西国際空港発着便だ。JALは女満別、帯広など北海道中心に5路線の廃止を決定。昨年8月にも東北中心に5路線の廃止を発表したばかりで、短期間に10路線もの廃止が関空に集中。関空に残されたJALの国内線は、札幌、羽田、福岡、那覇の4幹線のみで、地方への空の道は閉ざされた。ANAも羽田、高知、松山、鹿児島など、関空路線中心に減便を加速している。

ただ、同じ関西圏でも、大阪国際空港(伊丹空港)はリストラ対象から外れている。それどころか、JALは同じ花巻空港でも関空便を2月に廃止する一方、伊丹便は4月から増便する。関空便の搭乗率が5割を下回るのに対し、伊丹便は7割近い高収益路線と対照的なのだ。

過去最低にまで減便

関空は米同時多発テロなどで航空会社が苦境にあった01年度から危機的状態に陥った。国土交通省は04年度に救済策として、関空と伊丹のすみ分けを断行。関空に長距離便を就航させる一方、伊丹は中近距離便空港として活用するとともに、ジェット枠上限も設け機能縮小を促した。これによって、航空各社はドル箱路線である長距離路線の多くを無理やり関空に移行。JALは05年から18便を関空に移したが「以前よりも収益力が悪くなった」(経営企画室マネジャーの岩崎平氏)。

JALの関空路線の赤字は、07年度に100億円を超え、1路線当たり7億~8億円の赤字を垂れ流している。「これまでほかの黒字路線でカバーしてきたがもう限界」(岩崎マネジャー)とついにさじを投げた格好だ。ANAの岡田晃執行役員も「後背地需要、旅客単価、コストの三つの観点で関空は厳しい」と冷淡に突き放す。

1994年に開業、96年のピーク時には、国内線1日34都市84便にも上る就航数を誇った関空。だが、利用者も航空会社も逃げ足を速めた結果、今回のリストラで1日9都市45便とかつてない水準に激減する。

1月28日に記者会見した関空の村山敦社長は「国内線のネットワークは過去最低だ。乗り継ぎ機能が大幅に低下し国際拠点空港としても困難になる」と憤った。大阪府の橋下徹知事も昨夏に「伊丹廃止論」をブチ上げたうえ、昨年末には航空各社を呼び出し関空での増便を迫ったが、不発に終わった。

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