自己肯定感「低い子供」が減らない日本の危うさ 「学力低下」や「薬物依存」に陥るリスクが高い

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母親や周囲の大人が、子どもたちに「悪いところがたくさんあるから直さなければいけない」などと否定的なメッセージを送り続ければ、「できないのは自分が悪いからだ」と思い込んで、自分を受け入れることができず、自己肯定感は低くなります。

私がQOL調査をはじめた2000年頃から気になっているのは、子育てをしているお母さん・お父さんたち自身が自己肯定感が育まれていない、保てていないのではないか、ということです。

QOL調査では、自尊感情は小学生よりは中学生、中学生よりは高校生のほうが低い傾向があります。中高校生ではほかの国と比較しても低さが際立っていると考えています。

自己肯定感が低いまま親になると…

自分自身の限界を感じれば自己肯定感は低下しますが、「それでいい」と思うことができれば、それ以上低くなりません。問題は、日本の青年は自分自身が「それでいい」と思えないまま大人になり、社会生活を送っているのではないかということです。

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私たちが使用しているQOL尺度は高校生までを対象としたものですので、高校卒業後は同じ質問では調査できません。大人を対象とした自己肯定感の調査はいろいろありますが、広く一般を対象に行うものは仕事や夫婦生活などについても質問がありますので、単純に子ども版と比較することはできません。

推測の域を出ないのですが、自己肯定感が低い状態で社会参加したり、家庭で子育てを行うことになると、自己肯定感は回復しないのではないかと危惧しています。

結果、母親(もしくは父親)が、自分の自己肯定感が低いことを育児をしながら自分の子どもに投影してしまい(自分自身のとくに子どもの頃のネガティブな思いを自分の子どもに見いだしてしまう)、親が子どもを肯定的に評価できないと、子ども自身も自己肯定感が保てなくなるのではないか、と思っています。

古荘 純一 青山学院大学教育人間科学部教授

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ふるしょう じゅんいち / Junichi Furusho

小児科医、小児精神科医、医学博士。1984年昭和大学医学部卒業。昭和大学医学部小児科学教室講師、青山学院大学文学部教育学科助教授を経て、現在にいたる。日本小児精神神経学会常務理事、日本小児科学会学術委員、日本発達障害連盟理事、日本知的障害福祉協会専門員などを務めながら、医療臨床現場では神経発達に問題のある子ども、不適応状態の子どもの診察を行っている。青山学院大学では、教育、心理、保育などで子どもにかかわる職種を目指す学生への指導を行っている。

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