「総合取引所」は日本経済蘇生の起爆剤になるか

「外圧」が突き動かしてきた日本の大転換

2019年3月28日、日本取引所グループ(JPX)と東京商品取引所(TOCOM)は、2019年10月をめどに経営統合すると発表した。

各紙報道によれば、同日の記者会見では、株式に加え、貴金属や農産物等の商品先物を1つの取引所で売買できる「総合取引所」の創設を目指し、国際金融取引の活性化による国際競争力向上へという意気込みが聞こえてくる。

勢いに乗るアジアと追う日本

現在公表されている案では、JPXが持ち株会社となり、その下に東京証券取引所、大阪取引所、そして東京商品取引所がぶら下がり、原油を除く貴金属や農産物等の先物取引は大阪取引所に移し、金融先物と商品先物取引との相乗効果によって、赤字の続く東商取へテコを入れるとともに、内外の投資家の呼び込みを狙う。

もはや、東京をニューヨークやロンドンと比べようにも、東証のすぐ後ろを、上海や深圳(しんせん)が猛追し、香港も健在である。

例えば外国為替市場では、すでに東京は香港やシンガポールに取引額で凌駕され、日本の市場は、アジアの勢いに乗ることすらできていない。BISの調査による2016年4月の1日平均取引額の市場別シェアは、英国36.9%、米国19.5%、シンガポール7.9%、香港6.7%、そして日本は6.1%である(BIS, Turnover of OTC foreign exchange instruments, by country, May 2018)。

通貨別取引では、日本円は米ドルやユーロに次ぐ第3位に位置することを考えれば、円取引の相当部分が東京からシンガポールや香港に移っていることが想像される。

先物取引を眺めれば、その商品別比率では株式先物(日経225やダウ等の株価指数先物)が主導するとはいえ、2010年代における伸び率からいえば、むしろ商品先物取引の伸びが著しい。

しかも、商品先物の取引所別内訳では、過半がアジアにある。アジアの経済成長の勢いが、穀物や原油や金といった多様な商品先物取引の需要を高めているわけである(World Federation of Exchanges, WFE IOMA 2017 derivatives report, Apr.2018)。そこに「先物元凶論」といった先物取引自体を疑問視する思考様式が入り込む隙間はない。

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