193億円赤字のライザップ、「結果」を出せるか 買収戦略の軌道修正を取引先銀行も注視

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ライザップのメインバンクは、このコミットメントラインをアレンジャーとして仕切っているみずほ銀行だ。同行は現在、既存借入分の借り換えには応じるが、新規融資については慎重なスタンスとされる。コミットメントラインも、みずほ銀行が自行単独での融資に慎重になっている表れではないだろうか。

この点について、瀬戸社長は「いろんな形で(銀行から)言われているのは事実」と答えた。瀬戸社長は企業買収を早期に再開したい意向だが、「買収を行うなら事前に銀行の合意を得ること」など、取引維持に当たっていくつかの注文が付けられているようだ。

「暴飲暴食」は止まったが…

以前であれば、企業買収は事後報告で済んでいたという。ライザップが再び「暴飲暴食」に走るのではないかと、銀行も気が気でないというわけだ。

「ライザップは膨張してぜい肉がついていた」と指摘する松本晃氏(右、撮影:尾形文繁)

ライザップのボディメイクに例えると、現状は松本氏という厳しいトレーナーのもとで企業買収という暴飲暴食を止めただけに過ぎない。あくまでも緊急措置を施しただけだ。

スリム化もさほど進んでいない。グループ会社数は、2017年3月末に51社だったのが2018年9月末には85社に増えた。新規買収を凍結したため、2019年3月時点では86社とほぼ横ばいだ。社数を減らせばいいという単純な話ではないものの、人間の体重のようにライザップの経営効率を示す重要な指標の1つであるはずだ。

肉体を引き締めるには健康を損なうことなく行うことが必要であるように、これからのライザップは事業の選択と集中を無理なく進め、利益体質を再構築していく必要がある。6月に取締役を退任する松本氏が道筋をつけたガバナンス改革もしっかり進めていかないと、「筋肉質の経営」に転換することは難しいだろう。

道は険しいが、信用を取り戻すには「結果」を出すしかない。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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