ビール市場で進む、二極化とメリハリ ビール大手、主力ブランド強化で消費増税乗り越え

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縮小

主力商品中心に付加価値化

「消費増税の4月以降は、これまで以上に確かな価値を持った商品に支持が集まる」(サントリー酒類の相場康則社長)との見方から、各社とも、定番の主力商品中心に付加価値化を進める。

アサヒビールが「スーパードライ」で初めての「味の進化」を図るほか、キリンビールも「一番搾り」をリニューアル、質的な面を全面にアピールする。通常価格帯でデイリーに味わえるプレミアムビールと位置付け、マーケティング投資を前年比約2倍に増やして攻勢をかける。

プレミアムビールの戦い熱く

2014年は、プレミアムビール市場での戦いが一段とヒートアップしそうだ。縮小傾向にあるビール類の中で、プレミアムビール市場は伸長している数少ない市場。13年には2900万ケースに拡大、2014年も10%近い伸びが予想されており、3年連続でのプラス成長が見込まれている。

キリンは10日、主力商品「一番搾り」のプレミアムビールをギフト専用として発売すると発表。2月18日からは、アサヒが「ドライプレミアム」を通年商品として販売を開始、全社がプレミアムビール市場で火花を散らすことになる。

先行する2社は「プレミアムビール戦争で市場が活性化して元気になることが大事」(水谷徹・サントリー酒類常務)とし、一段の市場拡大に期待を寄せる。

プレミアム市場市場シェアの約6割を占めるサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」は、前年比2%増の1800万ケースと11年連続で過去最高を計画。一方、サッポロは「エビス」ブランドで4月の消費増税後の限定商品やギフト専用商品を計画。前年比40%増の販売促進費を投入することで、前年比4.1%増の1000万ケースを計画する。エビスブランドが1000万ケースを達成すれば、2010年以来となる。他社の参入で競争激化が予想されるが、尾賀真城サッポロビール社長は「プレミアムビールが市場活性化のきっかけになるかもしれない。各社がやればまだまだ伸びる市場」と述べ、期待を掛けている。

(清水律子)

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