消えない「衆参同日選」説、衆院解散はあるのか 内閣・自民支持率高止まりで浮上する強気論

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同日選論が取り沙汰される背景には、ここにきて内閣支持率が上昇傾向で自民党の政党支持率も高止まりしていることがある。13日に公表されたNHK世論調査でも内閣支持率は48%とわずかに上昇した。「皇位継承に伴う“令和フィーバー”が効いただけ」(公明幹部)とのさめた見方もあるが、与野党には「首相が衆参同日選挙を断行する環境が整いつつある」(国民民主幹部)との見方も広がる。

NHK調査の結果を受けて自民党の二階俊博幹事長は13日、「(衆参同日選を)首相が判断すれば、党として全面的にバックアップして対応する用意はある」と意味ありげに語った。これに対し、公明党の斉藤鉄夫幹事長は「衆院を解散したあと何が起こるかわからず、一気に政権を失うリスクも大きい」とこれまでどおりの反対論を展開。さらに、首相側近の西村康稔官房副長官も同日のBS番組で「首相自身が(解散は)頭の片隅にもないと言っている。(首相との)打ち合わせでも、まったくそんな雰囲気は感じられない」と否定してみせた。

その一方、13日に内閣府が発表した3月の「景気動向指数(速報値)」で景気の基調判断が6年2カ月ぶりの「悪化」に下方修正されたことも、同日選論を加速させた。立憲民主党の長妻昭代表代行は「消費税率引き上げ先送りのダブル選もゼロではない」と述べ、国民民主党の玉木雄一郎代表も「通常なら国会終盤で内閣不信任決議案を出すことになるので、与野党が最終的に相まみえる時が近づいてきている」と会期末解散の可能性に言及した。

同日選でも改憲勢力維持は困難

そもそも、首相にとっての同日選断行は「自民党の勝算次第」(閣僚経験者)とみられている。過去2回の同日選はいずれも衆参で自民が圧勝しているからだ。しかし、「(過去2回は)選挙制度が中選挙区で、現在の小選挙区とは条件が異なる。首相の急死や抜き打ち解散という特殊事情によるもので、今回とは状況が違う」(首相経験者)のも事実だ。

そうした中、安倍首相は13日の自民党役員会で、憲法改正をめぐって「議論しなくてよいのか」と口をとがらせた。衆参両院でいわゆる改憲勢力が「3分の2」を維持している中で、国会での憲法論議が遅々として進まない現状へのいら立ちからの発言だが、党内では「改憲を争点に解散する考えでは」(若手)と受け止める向きもあった。

ただ、夏の参院選後に改憲勢力「3分の2」を維持するのは困難視されている。自民党にとって6年前の65議席という記録的大勝を超える議席獲得が必要となるが、「現状では余程のことがない限り不可能で、仮に、同日選を断行しても、その状況は変わらない」(自民選対)とみられているからだ。

自民党は2017年の衆院選で284議席を獲得し、大勝しているが、「今回同日選を断行しても、衆院の大幅議席減は避けられず、3分の2維持も困難」(同)との見方が支配的だ。2017年は旧民進党が選挙直前に大分裂し、野党が候補者調整もできずにバラバラで戦ったことが、自民に「漁夫の利」をもたらした。しかし、野党共闘が本格化すれば、「自民は260議席程度が上限」(選挙アナリスト)とみられている。同日選にした場合の参院での議席増は2~3議席とみられ、「リスクの割にデメリットが大きい」(公明幹部)。だからこそ、首相サイドからも「参院単独でも負けないなら、わざわざ同日選にして衆参両院で3分の2を失うようなことを首相がやるはずがない」(側近)との声が出るのだ。

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