「ネット依存」で失った4つのもの 私は85点でネット依存症
ある企業の社員を対象にした実験では、社員の85%がメールを受信してから2分以内に内容を確認しているようです(参照元:『毒になるテクノロジー』東洋経済新報社)。私もこれに当てはまります。私は決して暇ではないはずなのに、やっている仕事をわざわざ中断して、メールをチラ見しているのです。スマホ、タブレットも手伝って、エレベータの中、電車の中、エスカレータで立ち止まりながら、昼食をとるために店に並びながら、トイレに坐りながらメールをチラ見してるのです。これはもはや連絡を取り合うのではなく、絶やさずにしています。メールの内容に一喜一憂しては、心の余裕をもって考えることを失うのです。
ちなみにわが家では、この依存から解放されるために、家族で食事をするときは、スマホ、タブレットのような画面はすべてタイムアウトします。タイムアウト・ボックスと呼ぶ、画面遮断箱に画面を入れて、食事が終わるまでその箱は開けません。かれこれ3年は継続していますが、今ではこれが当たり前になっています。
グーグルは何でも知っています。でもだからといって、あなたが何でも知っているわけではありません。当たり前ですよね。ネット上にはたくさんの有益な情報があるのに、検索するときはあなたの中にある言葉でしか探せないので、ネットの謝恩を受け切れないのです。つまり、予想外の刺激の機会が少ないのです。グーグルは問題の解決に役立つのであって、あなたが予想もしないような刺激を得ることはできません。
私は法政大学で統計実習の特別講師をしているのですが、生徒にこんな質問をしたことがあります。「ネットの不満とは?」。生徒は10代で、私と違って幼少からネット環境で育っています。私がネットで便利になったと思っていることでも、彼らにとっては彼らなりの不満があったのです。その不満とは「予想外の刺激がないこと」と、ある生徒はこう言いました。「興味ある分野はある程度まで深めることができるが、興味がない分野から得られる刺激は受けられない」。
検索の弱点も熟知するグーグルは、予想外の刺激を得る工夫を実践しています。20%ルールです。本来の業務と異なるものへ意識を向けることで、予想外の刺激を受け、本来の業務へ貢献する仕組みです。
ネット依存症を確認するテスト
キンバリー・ヤング(Kimberly Young)が開発したネット依存を判断する基準値というのがあります。あなたは何点でしょうか?
80~100点は重度なネット依存症です。ちなみに私は85点で、極めて重度なネット依存症でした。ネットがないと精神的に平常を保てなくなる状態というやつです。たぶん、私は深く物事を考える機会を失っているかもしれません。仕事柄、家族や友人と向き合う時間は確実に失いました。エリック・シュミットが助言するように、電源を切って、人間らしさを発見できる環境をつくらないといけません。日常的にネットとうまく付き合う方法を見つけないといけません。
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