時速400kmに挑むJR東「次世代新幹線」の全貌 両端で違う「顔」、窓がほとんどない車両も

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窓が極端に小さい中間車両(撮影:尾形文繁)

2~9号車は今回初めて公開された。3号車と7号車は通常の車両よりも窓が極端に小さい。また、5号車はミーティング室や多目的室が設けられ、扉部分を含めても窓がほとんどない。「窓の大きさや有無による車両構造や客室内環境などの評価を行うため」(JR東日本)という。実際、窓の大きさで騒音レベルはかなり違ってくる。JR東海の新幹線700系と最新のN700Aでは窓の大きさが全く違う。最高速度の速いN700Aの窓のほうが小さい。窓の面積が小さいと車体の軽量化や剛性強化にもつながる。

8号車は、外観は通常の車両と大きな違いはないが、車内を2つに分けて、客室環境を比較評価するという。

急停車は屋根上の「抵抗板」で

性能面では、地震発生時などの緊急事態により早く、より安全に止まるために、車両の屋根上に空力抵抗板ユニットを設置した。普段は格納されているが、緊急時にせり上がる。2005~2009年に走行試験を行った8両編成の「FASTECH(ファステック)360」も空力抵抗板ユニットが設置されており、その特徴的な形状から「猫耳」と呼ばれたが、アルファエックスのそれはずっと小ぶりだ。

ほかにも山手線の新型車両などに搭載されているCBM(予防保全)システムを搭載して、車両や地上設備を常態監視することで異常発生前にメンテナンスを実施する。これによって故障が減ると同時にメンテナンスコストの低下にもつながる。また、将来の自動運転を目指すために、出発から加速、惰行、減速といった車両制御の基礎的な研究開発も行う。

アルファエックスは今月から2022年3月にかけて、仙台―新青森間を中心に走行試験を行う。次世代新幹線の営業最高速度とされる時速360kmでの走行のほか、最高時速400kmでの走行は数回程度行われる。走行試験は週2回程度、営業列車の走行しない夜間の時間帯に行われるが、運が良ければ、駅に停車中のアルファエックスの雄姿を見ることができるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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