新興国投資家、今年は政治リスクへの警戒強化 「フラジャイル・ファイブ」への警戒感

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支払いの意思

例えば資産運用大手ブラックロックは、政府の信用度合いに基づいて50カ国をランク付けした「ソブリン・リスク・インデックス」を四半期ごとに公表している。この指数は対外的な資金調達の必要性、財政政策、銀行の安定性などをカバーしているが、「支払いの意思」という項目で純粋に政治的なリスクについても評価している。

今週にはウクライナとナイジェリアが新たに対象国に加わった。全体での順位はそれぞれ45位と39位だったが、「支払いの意思」の順位は他の新興国の平均を大幅に下回り、ナイジェリアに至ってはベネズエラに次ぐ下から2番目だった。

さらにブラックロックはタイやウクライナでの最近の騒乱を挙げて、リスク評価における政治的要因の重要性の高まりを強調。「支払いの意思」を評価する情報源を増やしたとしている。

「フラジャイル・ファイブ」の5カ国はいずれも10月に公表された同指数で赤信号がともっていた。

だからポートフォリオ投資家はすぐに逃げ出せるように警戒を強めるかもしれない。もっとも、直接投資を行っている投資家にとってもこうした手段が有効かどうか疑問がある。

直接投資に対する政治リスクは伝統的に現地に対する深い知識に基づいて判断しなければならず、政府系保険機関や特別なリスク調査機関がこうした作業を担っていた。

しかし全米経済研究所(NBER)が今週公表した研究報告では、債券市場の価格から政治リスクを早期警戒する上で有効な指標を導き出せるとの見方が表明された。しかもコロンビア大やデューク大などの米経済専門家4人によるこの報告では、ソブリン債のスプレッドから市場の流動性や経済の流れといった非政治的な要因を除き、リアルタイムで正確な基準を構築することができると説明されている。

報告によると、おおむね新興国のソブリン・スプレッドは純粋な政治リスクを3.1%ポイント過大に織り込んでいる。ただ投資家はもとより政治家にとっても衝撃的なことに、主要な債券指数の対象となっている新興国30カ国では、政治リスクのスプレッドが1%ポイント上昇すると外国直接投資が平均12%程度、3億0500万ドル落ち込むと結論付けている。

(Mike Dolan記者)

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