夢のセカンドハウスは老後破綻を招きかねない 長く持つほど貧乏になる「負動産」の可能性も
物件は築35年、1LDK・約43㎡で380万円です。年間維持費は管理費・修繕積立金・借地料・上下水道基本料・ケーブルテレビ視聴料を合わせて約27万円、電気・ガスは使用量に応じて実費がかかります。一時金として預り金・名義変更料・借地期限更新時事務手数料で合計約63万円の支払いも必要でしたが、それらの合計約470万円でセカンドハウスを所有できるなら安い、とAさんは感じました。
疑念が頭をもたげるようになったのは、「10年ごとに大規模修繕の費用が100万円かかる」と聞いた頃からでしょうか。10年で100万円を含めると年間の維持コストは約37万円に増えますが、月当たりにすれば約3万円と払えない金額ではありません。
しかし、購入に向けて話を進めていくうちに、「このセカンドハウスって、年間通して利用できるだろうか?」というところも気になってきました。販売業者によると、毎年10月から各住戸の水抜き作業が行われる、というのです。厳寒期の水まわりの設備凍結による被害防止のためで、住戸利用が制限されるものではないと。しかし利用する際には水抜き作業を自身で行う必要があります。仮に、冬期は利用しないとすると、月当たりコストは6万円と倍増です。不安も倍増するAさん……。トドメを刺したのは、奥様の一言、「このセカンドハウスって、私たちが使わなくなったら、売却できるかなあ」でした。
2人は、親戚が熱海に所有している温泉付きマンションのことも思い出しました。毎月の管理費が高額になり、「タダ同然で売りに出したけど、全然買い手がつかないよ」とこぼしていたのです。売却したいときに売却できない不動産は、資産ではなく負債になりかねません。
結局、海外リゾートのヴィラみたいなセカンドハウス購入は見送ることにしました。
ねんきん定期便で現実を知らされる
セカンドハウスの購入を一瞬、夢見たことがきっかけになって、Aさんは、アラフィフ以降の自らの暮らしがどうなるか、気になってきました。今度は、老後のお金の心配が頭をもたげてきたのです。
と、その頃、Aさんに「ねんきん定期便」が届きました。大企業管理職のAさんの年収は約1200万円。厚生年金保険料は毎月5万6730円と、上限額を納めています。ねんきん定期便に「65歳からの年金見込額は毎月約18万円」と記載があり、妻の年金と合わせると毎月約24.5万円です。
問題は、Aさんは2年後、役職定年を迎え、年収が3割減になることもあり得るのです。「そうなったら、私の年金はどうなるんだろう」と不安げなAさん……。
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