将来不安の30代がするべき「たった3分の計算」 30代の会社員は「退職金制度」を知らなすぎる
国民年金から受け取る基礎年金は「満額」が決まっています。20歳から60歳までの40年で、未納や免除がなければ満額は約80万円です。つまり「1年加入期間が延びるにつき2万円増えていく」と考えられるので、この先増える基礎年金の金額の目安は、
「今から60歳までの年数」×「2万円」
となります。厚生年金については「報酬比例」なので、こちらは年数でなく「収入」に応じて年金額が増えていきます。簡易計算式は、こうなります。
「平均年収」×「0.55%」×「60歳までの年数」
平均年収が想像できない場合は今の年収で考えれば十分です。基礎年金と厚生年金のそれぞれで計算し、合算してみてください。今後、どれだけ年金額が増えるか、ざっくりと把握できます。そうすることで、これからまだ長い就労の期間の過ごし方を考えるきっかけとなるはずです。
計算は必ず退職金と年金を先に、心配な教育費は後で
退職金と年金についてきちんと知っておくだけでも、「今は困っていないけれど不安」という状態は少し解消されるのではないでしょうか。では、こんどは30代夫婦の相談でいちばん多く聞かれる心配--子どもの教育費について考えてみましょう。
教育費を考えるうえで大事なことは、「退職金と年金について考えた後に検討する」ということです。おおよその生涯収入を予測し、老後の生活費を見通した後、ようやく教育費をいくら「かけられるか」を考えることができます。30代の子育て世帯の場合、まだ子どもが小さいことが多いです。保育園児や小学校低学年の子どもを育てている時期に、大学までの進路を予測しろと言われても、イメージできないかもしれません。そうなると、どうしても「自分たちが親にしてもらった教育・進路」をベースに考えてしまいます。
しかし今の30代が学校に通っていた頃に比べると、教育費の値上がり率はとどまるところを知りません。物価や給与水準が上がらない期間にも、大学などの授業料は上がり続けるという異常な状態となっています。
大学費用だけ見ても、国立大学で約450万円、私立文系約650万円、私立理系になると約800万円(在学中にかかる学校納入金以外も含んだおおよその金額)と大きなお金がかかります。子どもが生まれると、真っ先にこれらの大きなお金を想定するために、30代子育て世帯では教育費に貯蓄の比重が偏っているケースを多く見かけます。晩婚・晩産などで、子どもの教育が終わってから老後費用を貯める期間が短い場合はなおさら、教育費偏重になっていないか気をつける必要があるでしょう。
「人生100年」と言われる昨今ですが、寿命の伸び率ほどには就労期間が伸びていません。老後が長くなっている割に、働ける期間は今も限られているということです。だからこそ「就労収入」を「人生に必要な資金」に割り当てるときは、時系列ではなく、仕事をしなくなくなってから必要になるお金に割り当ててから、逆算で計算する必要があります。そうすることで教育費や現在の生活費に使えるお金が見えてきます。「お金に困っていないけど何となく不安」を解消するには、将来を見越したうえで、今使えるお金をハッキリとさせ、支出を身の丈に合わせていくことが大事なのです。
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