令和初の参院選、安倍首相の勝敗ラインは?

自民党50議席割れなら首相の責任論が浮上

メディアや自民党などがこれまでに実施した全国的な情勢調査などによると、立憲民主、国民民主両党を中心とする主要野党による1人区などでの統一候補擁立を前提としても、「与党の過半数割れはもちろん、改選過半数割れの可能性も極めて少ない」(選挙専門家)とされる。選挙区選は32の1人区と13の複数区(2~6議席、合計42議席)で実施されるが、①野党は1人区では前回の11議席が上限②複数区では自民15議席がほぼ確実③比例代表でも自民の下限は17議席、などの分析が多いからだ。

仮に、全国的に野党統一候補が実現しても、自民は1人区21、複数区15、比例17の合計53議席が下限となり、これに公明の下限とされる12を加えれば与党は65議席で改選過半数をクリアできることになる。しかも、主要野党が全1人区での統一候補擁立に失敗すれば「(1人区全体で)前回の11議席どころか、下手をすると数議席にとどまる」(立憲民主幹部)との分析もあり、結果的に与党が前回実績の70議席を上回る可能性も少なくない。

今回の参院選でも「何かが起こる」?

歴史を振り返ると、昭和から平成に元号が変わった30年前の平成最初の国政選挙となった1989年7月の参院選は、リクルート事件や消費税3%実施などの影響で自民党は36議席という歴史的惨敗を喫し、当時の宇野宗佑首相(故人)は開票翌日に「明鏡止水」のセリフとともに退陣表明した。この選挙で自民党は初めて参院での単独過半数を失い、大勝した野党のリーダーだった土井たか子社会党委員長(元衆院議長、故人)が「山が動いた」の名セリフを残した。

このため、12年前の自民惨敗と重ね合わせて「歴史を振り返ると、今回の参院選でも何かが起こる可能性がある」(首相経験者)との見方もあり、首相らも党内の引き締めに躍起となっている。首相側近が衆参同日選論を口にしたことについても「首相の意向を踏まえ、自民党の衆院議員にも緊張感を持たせるための発言」(自民選対)とみる向きが多い。

選挙の司令塔の二階幹事長は4月29日、滞在先の北京で記者団に対し、衆参同日選の可能性について「今、国民に信を問うような差し迫ったテーマはない」と否定的な見解を示す一方、「常在戦場という言葉があり、選挙はいつあってもおかしくない。国会議員は常に選挙と隣り合わせだ」と語った。これに対し、野党側は「同日選なら受けて立つ」(立憲民主幹部)などと強がるが、本音では「現状で同日選を打たれたら、野党は惨敗」(国民民主幹部)との不安を隠しきれない。

史上初のゴールデンウイーク10連休は、列島全体が皇位継承に伴う「令和フィーバー」に沸き返り、夏の参院選の話題をかき消している。昨年末以降、衆院解散については「頭の片隅にもない」と繰り返してきた首相は、4月下旬の欧米歴訪と一連の皇位継承行事に専念し、今後の政権浮揚にも自信をにじませる。首相にとって鬼門だった亥年選挙を乗り越えれば「悲願の憲法改正にも手が届く」(側近)だけに、「競馬で言えば史上最長政権の第3コーナーを『そのまま!』の歓声とともに駆け抜けたい」(同)のが現在の首相の心境といえそうだ。

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