10連休前から注目されるSA・PAの「大胆な変貌」 展示にこだわり地元密着を打ち出す最新PAも

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番組の内容だが、定番の「おすすめのサービスアエリア」「おすすめのメニュー」などから始まって、サービスエリアが近年進化した背景や、高速道路会社が収益をサービスエリア事業に依存しているデータが提示されたり、コンセッション方式で運営されるようになった愛知県の知多半島道路の大府PA、阿久比PAに、建築家の隈研吾氏が設計した斬新な建物の中に、著名なパティシエの辻口博啓氏が開いたベーカリーや、山形県庄内地方で地産地消を売りにしたレストランを開業し成功させたことで知られる奥田政行氏のイタリアンレストランが入ったことなど硬軟取り交ぜた内容が紹介された。

連休直前というタイミングがよかったせいか、放送の翌日、「サンデージャーナル」としては近年まれに見る高視聴率だったと報告があったことからも、大型連休を前に視聴者がサービスエリアに高い関心を寄せていることが感じ取れた。

最新鋭の鈴鹿PAは「地域密着型」が魅力

こうして続けてかかわることになったサービスエリアの特集が、どちらも愛知県のメディアであったことは、単なる偶然ではあろうが、東京や関西に比べて車への依存度が高く、自然とサービスエリアへの関心も高い土地柄であること、今年3月に新名神高速道路の新四日市JCT―亀山西JCTが開通し、その区間に最新鋭のサービス施設である鈴鹿パーキングエリアが開業したことも多少関係しているのだろう。

その鈴鹿PAは鈴鹿サーキットの地元だけあって、実際のF1カーや歴代の日本グランプリの優勝者の手形が展示されていたり、地場産業の鈴鹿墨や伊勢型紙を紹介するコーナーが設けられているなど、これまで以上に地域密着型の施設となっているのが大きな特徴だ。

関東では、この夏、東北道の一番東京寄りの休憩施設である蓮田SAが移転して大拡張され、NEXCO東日本最大級のSAとしてオープンするなど、まだまだサービスエリア・パーキングエリアの話題には事欠かない。

今後自動運転が広く普及すると、ドライブの疲れを取るという休憩施設の役割は薄れ、さらにエンターテインメント性が増すのではないか、そんな予感も感じさせるSA・PAの変貌ぶりである。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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