通勤電車としての「新幹線」、混雑・本数実力診断 速度と快適性は在来線を圧倒、そのほかは…

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朝ラッシュ時の速度については、新幹線がトップクラスなのは間違いない。三島7時24分発、東京8時20分着の「こだま704号」を例にとれば、途中駅の停車時間などを含めた「表定速度」は時速129.3km。在来線主要32路線中でもっとも速い東海道線の時速68.2kmと比べて倍近い速度だ。

運行本数についてはどうだろうか。朝8~9時に東京駅に到着する上り列車(のぞみ、はやぶさ、かがやきを除く近距離・自由席主体の列車)の数を見ると、東海道新幹線8本、東北新幹線5本、上越・北陸新幹線7本で、主要32路線と比べると最下位クラス。2分おきに列車がやってくる中央線快速などのように待たずに乗れるというわけではない。

ただし、主要32路線の最下位は横須賀線のピーク時1時間当たり10本なので、東海道新幹線は在来線と比べても極端に少なくはない。

在来線ライナーより座席数は多い

輸送力は運行本数に1列車当たりの定員を乗じて算出される。新幹線各線の運行本数は前述の通り最下位クラス。また、定期券利用者が基本的には自由席しか利用できないことを勘案すると、1列車当たりの輸送力はさらに低下する。

東海道新幹線の場合、平日の7時20分~9時07分に東京駅に到着する「こだま」は普通車全車両が自由席で、この場合の自由席数は1123席。「ひかり」は1~5号車の440席が自由席で、東京駅8~9時台着のこだま・ひかりの自由席数を合計すると7618席となる。これは主要32線で輸送力が最大の小田急線(4万9416人)と比べると6分の1以下だ。

ただ、在来線の定員は立客を含む数だ。在来線の通勤ライナーで着席通勤することを考えれば、新幹線のほうが座席数ははるかに多い。さらに言えば、そもそも通勤利用者数が多くないので、この点は問題にならない。

このように見ていくと、通勤電車としての新幹線の実力は、長所も短所もあるということになる。朝の新幹線車内では座って朝食を取るなど、在来線とはまったく違った通勤スタイルを取ることができる。もし、新幹線通勤が可能な職場に勤務しているのであれば、住まい選びの際に選択肢の一つに入れてみてはいかがだろうか。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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