住宅ローン「早く返すほどベスト」という勘違い

総額で得しても家計の資金繰りはきつくなる

借りたお金は必ず返さなければいけない一方で、将来の収入は未確定だ。したがって借金はないに越したことはない。しかし一度ローンを組んだ場合、返済を急いで手元のお金を極端に減らすとかえってリスクが高くなる。なぜなら企業でも個人でも、破綻するのは支払いができなくなったときだからだ。

借金はしないに越したことはないが、借金をした後はゆっくり返したほうがいい場合がある。つまり借金をする前と後では認識を変えたほうがいい。それにもかかわらず、借金をした後も「借金は悪」「少しでも早く返したほうがいい」という行動をとってしまうとかえって危険な状況に陥ってしまう。

多少損をしようと手元にお金を残して支払いを確実にできる状況にしておくこと、つまり資金繰りを優先することは、企業の経営者にとっては常識だが個人の借金返済では常識ではない。そもそも個人の借金で資金繰りを意識している人は極めて少ない。個人でも法人でも破綻するのはショートしたとき、つまり資金繰りが止まったときにもかかわらずである。

現在では、住宅ローンの借入期間による利息負担の違いや、繰り上げ返済で利息はどれくらい減らせるかといった計算は金融機関に出向くまでもなくネット上のシミュレーターで手軽にできる。今回事例に書いた計算も簡単に再現できると思うが、重要なことは損得とは別に「資金繰り」という視点があると知ることだ。

早めにローンを減らし教育費負担に備えるという勘違い

短期間で返済を終えようとするとお金の出ていくスピードが速くなる。早めにローンの返済を終えて将来の教育費負担に備える(とくに負担の大きい大学費用)、と考えている人も多いと思うがそれは完全に間違いだ。早めにローンを終えると、かえって手元のお金が大幅に減り、教育費の支払いに困ってしまう。

今回のシミュレーションは20年ローンと35年ローンを比較したが、35年ローンで毎年繰上げ返済(期間短縮型)をどんどん行えば、20年ローンに近い状況へとなっていく。

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