住宅ローン「早く返すほどベスト」という勘違い

総額で得しても家計の資金繰りはきつくなる

結果的には20年ローンのほうが支払総額は少ないが、「途中経過」を見ると35年ローンのほうが支払額の少ない期間がずっと続く。35年ローンの支払額が20年ローンの支払総額である約4207万を追い越すのは33年目になってからだ。つまり損得と資金繰りはタイミングがズレる。

ゆっくり返すということは利息の発生する期間が長いことを意味し、つまりそれだけ返済額が多い。それでも返済期間中はゆっくり返済することになるため、貯金をためやすい。資金繰りを重視した住宅ローンの資金計画とは、結果だけではなく途中経過も重視して返済することを意味する。

「うちは収入が高いから大丈夫」と考えて短期間でローンを組むとどうなるか。貯金はまったく増えず、大学進学を考える頃には貯金が極端に少なく、加えて日本学生支援機構の奨学金は所得制限もあって奨学金が借りられない状況に陥りかねない。結果的に金利の高い教育ローンを組むことになるかもしれない。

期限の利益で考えてみよう

返済が遅れない限り当初の契約に従って時間をかけて借金を返済していい、という状況を「期限の利益」という。言葉通り、ゆっくり返すことはお金を借りた人にとっては利益がある状況だ。街金が舞台の漫画「ナニワ金融道」では、一度でも返済が遅れた人に「今すぐ全額を返せ!」と迫るシーンが多数出てくる。その根拠となるのが「期限の利益」の喪失だ。契約内容によっては、返済が滞った場合はすぐに全額返済をするように定められている場合がある。

家を買う際にローンを組む理由は、大抵の人が現金払いで買えるほど貯金がないからだ。そこでお金を借りて家を買い、長期間返済を続ける。

多くの人が勘違いしているが、お金を借りられること、そしてゆっくり返していい状況は借り手の権利であり利益、つまりメリットだ。とくに低金利の現在はそのメリットが昔よりさらに大きくなっている。もともと手元のお金が少ないから借金をしているのに、慌てて返済をするのでは何をやっているのかまったくわからない。

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