住宅ローン「早く返すほどベスト」という勘違い 総額で得しても家計の資金繰りはきつくなる
もちろん想定以上にお金が余り、子どもが独立して教育費の負担が終わり、それでもなお何千万円も貯金が残っていて使い道もない……。そんな状況ならば繰り上げ返済でローンの支払いを終えてしまってもいいだろう。
しかし、子どもがまだ小さく貯金はそれほどたまっていない、進学先も確定しておらず教育費の負担が重い大学進学時の費用がどれくらいかわからない、収入についてもどこまで勤務先が安定しているか不透明……そんな状況ならば資金繰りを優先して手元にお金を残したほうが無難なのだ。
短期でローンを組むことは実はリスクを高める
少なくとも家を買う時点ではほとんどの人にとって、将来の状況は不確定だ。短期でローンを組むことは実はリスクを高めることでしかない。そして一度ローンを組むと後から返済期間を延ばすことは簡単ではない。35年ローンはゆとりがあって貯金があると無駄遣いをしてしまいそう、という人もいると思うが、それは単純に将来の教育費などを把握していないだけだ。
どうしても無駄遣いをしてしまいそうだという人はどうしたらいいか。例えば、今回比較した20年ローンと35年ローンの差額である約7万円を将来の繰り上げ返済や教育費のために毎月預金にして一切触らないでおく、といった方法でもいい。とにかく資金繰りは最優先すべきと伝えておきたい。繰り返すが家計が破たんするのは支払いが止まったときだ。
結果的に資金繰りに問題は発生せず、手元に多額の資金が残ったとする。やっぱりあんなFPの言うことなんて無視をして短期間のローンを組めばよかった……と、後悔するような状況になったらどうすればよいか。そのときに繰り上げ返済を考えても遅くはない。繰上げ返済の効果はできるだけ早く行ったほうが高いことは間違いないが、10年後、20年後でも十分効果はある。
何年のローンが最適か、繰上げ返済はいつを行えばいいか、どちらも個別の事情によって変わる。ただし、1つだけ言えることは「資金繰りの観点を入れるだけで住宅ローンに関する判断は大きく変わる」ということだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら