4月29日スペイン総選挙でリスク再燃のおそれ

政権の「不安定」が危機を封じ込めてきた

与党・社会労働党の選挙ポスター。顔写真はサンチェス首相(写真:REUTERS/Eloy Alonso)

欧州では近年、各国でポピュリスト政党が大きく支持を伸ばしているほか、ドイツやフランスのリーダーシップに陰りがみられるなど、政治の安定が脅かされている。4月29日に下院選挙を控えるスペインも政治安定が危ぶまれる国の1つだ。ただ、多くの場合、政治の安定が望まれるのだろうが、スペインでは政治の不安定さが危機の封じ込めにつながる面もありそうだ。今後も政治の「不」安定を保てるか、スペインの選挙に注目が集まる。

ペドロ・サンチェス首相が率いる中道左派の社会労働党(PSOE)政権は、スキャンダルに揺れた中道右派・国民党(PP)のマリアノ・ラホイ政権を内閣不信任で退陣に追い込み、昨年6月に誕生した。同党は定数350の下院でわずか84議席しか持たない歴代最弱政権だ。反緊縮を掲げる左派ポピュリスト政党・ポデモス連合(UP)と複数の地域政党の協力で政権運営を続けてきたが、2月に今年度予算案が議会で否決され、解散・総選挙を決断した。

左派がリードするが、極右政党も台頭

各種の世論調査では、現与党の社会労働党がリードし、それを最大野党の国民党が追う展開となっているが、どちらも単独では過半数に届きそうにない。ポデモス連合、右派寄りのリベラル政党・市民(C’s)、反イスラムや反移民を訴える極右政党・ボックス(VOX)を加えた5党が10%以上の支持を獲得し、これに地域政党も含めた10党余りが議席を分け合う見込みだ。

国王は選挙後に各政党の代表者と協議し、首相候補を推薦する。一般に首相候補は最多票を獲得した政党から選ばれる。首相候補は内閣を組織し、当該内閣が下院の絶対過半数で信任されれば政権が発足する。初回投票で信任が得られない場合、48時間以内に再投票が行われ、今度は棄権・無効票を除いた単純多数決で信任される。

スペインでは第2次大戦前から1970年代まで続いたフランシスコ・フランコ将軍による独裁政権の記憶もあり、これまで極右政党が国民的な支持を得ることはなかった。だが、贈収賄や学歴詐称など相次ぐスキャンダルによる国民党の信用失墜、カタルーニャの独立問題を機に一部の国民の間で中央集権的な国家体制を求める機運が高まっていることや、隣国イタリアで難民受け入れに批判的なポピュリスト政権が誕生し、スペインへの難民流入が加速していることなどが、ボックスの台頭につながっている。

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