4月29日スペイン総選挙でリスク再燃のおそれ

政権の「不安定」が危機を封じ込めてきた

最近の世論調査に基づけば、政権発足が可能な組み合わせは、①社会労働党とポデモス連合に地域政党が協力する左派の連立政権か、②国民党と市民にボックスが閣外協力する右派の連立政権しか見当たらない。極右が閣外協力する右派政権が誕生することへの警戒もあり、最近の調査では社会労働党が支持を30%前後まで伸ばしている。

社会労働党に流れた支持の一部は、党内抗争に明け暮れる同じ左派のポデモス連合から奪ったものだが、ボックスの台頭で右傾化を強める国民党や市民から中道票が流れていることも大きい。最新の世論調査では、左派政権が誕生する可能性が高まっているが、今のところそのリードはわずかにとどまっている。

下院選挙は50の県と2つの特別自治市の計52の選挙区に予め議席が割り当てられ、3%以上を獲得した政党が選挙区毎に比例配分で議席を獲得する(阻止条項付きの比例代表制)。一見すると世論調査の結果がストレートに反映されやすい選挙制度のようだが、52の選挙区の中でマドリッドとバルセロナの2都市への議席配分が突出しており、議席配分が少ない県では議席を獲得可能な政党が限られ、小選挙区制の要素が高まる。

今回は新興極右政党が初めて参加する選挙なうえ、投票まで10日余りとなった段階の世論調査でも、「まだ態度を決めていない」との回答が多く、世論調査の結果どおりとなるかは予断を許さない。

左派の連立政権が誕生すると「財政問題」が浮上

左派の連立政権が誕生する場合、財政拡張、高所得課税、所得再配分の強化、労働市場・年金改革への逆行が予想される。社会労働党は欧州連合(EU)の財政規律の範囲内で柔軟な財政運営を目指す方針だが、より反緊縮色が強いポデモス連合の政権参加がどのような影響を及ぼすかが気になるところだ。イタリアの新政権誕生時のような財政運営の大転換は予想されないが、従来に比べて緩和的な財政運営となることは間違いない。

イタリアの財政悪化に注目が集まりがちだが、スペインは現在EU加盟国の中で唯一、財政再建への取り組みが不十分とされ、「過剰な赤字手続き」(EDP)の監視対象国となっている。左派政権が誕生した場合、欧州委員会はスペイン政府に対して、追加の財政再建努力を求めることが予想される。

スペインは過去数年、高成長を続けてきたが、その間も財政再建があまり進んでいない。外需を取り巻く環境悪化が続いており、近年の同国の高成長を支えてきたのは、雇用創出による個人消費の堅調だ。債務危機時に一時25%以上に達した失業率は、14%台にまで低下している。ただ、昨年12月に最低賃金が月735ユーロから月900ユーロに引き上げられ、ここにきて雇用の創出ペースが鈍っている。景気が減速し始めると、改めて債務の持続可能性に疑いの目が向けられるおそれがある。

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